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おぢばにおかえり

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第五十三話 おさづけの理その二十五

「けれどまさかね」
「その人と同じお部屋なんて」
「思わなかったけれど」
「同じお部屋でよかったんですね」
「寮って一年の時が一番大変だけれど」
 その一番大変な時にでした。
「長池先輩に毎日何でも助けてもらったの」
「いい人だったんですね」
「あんないい人いないから」
 私は阿波野君にこのことをここでもお話しました。
「本当にね」
「僕それがわからないんですよね」
「悪い人だっていうのね」
「だって本人さんが言ったことされたら」
 それこそというのです。
「僕一生忘れられないですから」
「トラウマになるっていうの」
「はい、そうなりますから」
 だからだというのです。
「そこまで残酷なことする人はいい人に思えないです」
「そんなことする人じゃないわよ」
「それは先輩が見てですよね」
「ええ、そうよ」
 そう言われるとその通りとしか答えられません、私が思う長池先輩はあくまで私から見た長池先輩です。
 ですがそれでもです、その長池先輩は。
「一年ずっと一緒のお部屋で色々してもらって」
「そう言えるんですね」
「ええ、いい人ってね」
「僕が見るとです」
 阿波野君はといいますと。
「残酷な人ですけれどね」
「だからそうした人じゃないっていうのは」
「先輩いつも言っておられますね」
「命もとても大事にする人よ」
 お部屋に虫が入っても殺さずに外に出して終わらせられる人です。 
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