星河の覇皇
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第七十一部第四章 引き継ぎその三十五
「しかしプロレスでは」
「それもまた真理ですが」
「技によりますね」
「バックブリーカー等は」
とてもというのだ。
「無理です」
「そういうものですね」
「そしてです」
さらに話したサチフだった。
「最近は。年齢ですが」
「それでもですか」
「大技ではなく関節技等に移っています」
そうした一見すると地味な技にというのだ、だが某漫画に五十二の関節技とある通り関節技も極めて重要な技なのだ。
「そうした技に」
「そうした技にですか」
「そうです、後はです」
他にはというのだ。
「ドロップキック等もです」
「よく使われていますか」
「はい、そして私はヒールではないので」
ポジション的にというのだ、プロレスにおいてはヒーローとヒールの役柄の違いもある。ヒールのプロレススタイルは凶器攻撃等の反則もある。
「正攻法にです」
「徹していますか」
「そうしています」
「ヒールになりますと」
「色々とやり方がありますね」
「そうした相手にも」
自分よりも体格が優れている相手にもというのだ。
「あります」
「実際として」
「はい、ですが」
「それでもですね」
「私はヒーローポジションです」
ベビーフェイスともいう、とにかく善玉悪玉でいうと善玉だというのだ。
「そうした技も使わないので」
「関節技ですね」
「そちらにも徹しています」
「左様ですか」
「地味な技で相手の体力を奪い」
自分より体格の優れた相手との勝負の時はというのだ。
「そして徐々に追い詰めていく」
「そうしたスタイルになっていますか」
「最近は」
「熟練ですね」
「ははは、そうした言葉をです」
オグモの今の熟練という言葉にだ、サチフは笑って返した。
「自分が言われるとは思いませんでした」
「そうだったのですか」
「はい」
実際にというのだ。
「どうにも」
「そうでしたか」
「はい、そうした年齢ということですね」
プロレスラーの選手寿命はわりかし以上に長い、還暦になってもリングに立っていたジャイアント馬場という偉大なレスラーもいた。
「私も」
「お気を悪くされたのなら」
「いえ、実はです」
こう返したサチフだった。
「そう言われることに憧れてもいました」
「そうだったのですか」
「はい」
実際にというのだ。
「老練、そして熟練と」
「その様にですね」
「言われるとはです」
まさにというのだ。
「憧れでした」
「そうでしたか」
「本当に、では」
「これからもですか」
「そう言われていきたいです」
老練、熟練のレスラーにというのだ。
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