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星河の覇皇

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第七十一部第四章 引き継ぎその三十四

「アルゼンチンバックブリーカー、ハイジャックバックブリーカーも」
「ハイジャックバックブリーカー」
「ご存知ですね」
「はい」
 強い声でだ、オグモはサチフに答えた。
「あの技もまた、です」
「素晴らしい技ですね」
「実に」
 こう答えるのだった。
「見ていて絵になる」
「まさにそうした技ですね」
「そう思います、アルゼンチンバックブリーカーもそうですが」
「中々決められない技だけに」
「実にです」
 決めたその時はというのだ。
「絵になり」
「勝ったと思えますね」
「心から」
「全くですね」
「本当に」
 二人の意見は一致していた。
 そしてだ、サチフはこうも言ったのだった。
「バックブリーカーは大技だけあり」
「華がありますね」
「実に、あの技を見られたり仕掛けられたら」
「その時はですね」
「やったとさえです」
 まさにというのだ。
「思えます」
「私も同じです」
「そうですね、しかし私事ですが」 
 サチフはここでこうも言ったのだった。
「最近バックブリーカーはです」
「あまりですか」
「仕掛けられなくなりました」
「そうだったのですか」
「はい、近頃義勇軍でも若手が台頭してきまして」
 義勇軍の中のプロレスラー達の話をすのだった、義勇軍においてもプロレスは格闘技として非常に人気があるのだ。
「私以上に大柄な若手が多く」
「そうした若手にはですか」
「難しいです」
 少し苦笑いになっての言葉だった。
「体格の差が。むしろ」
「司令の方がですか」
「仕掛けられかねない」 
 そうだというのだ。
「そうした状況です」
「そうなのですか、しかし」
「しかしとは」
「司令以上の体格ですか」
 オグモはこのことに驚いていた、サチフは二メートル二十はある。体重は筋肉質の為一五〇はあるかも知れない。連合でもかなり大きいその体格を見ての言葉だ。
「それはまた」
「驚かれますか」
「はい」
 実際にというのだ。
「そこまでとは」
「実際にです」
「そこまでの体格の若手がですか」
「義勇軍には出ています」
「そうなのですか」
「そうした者にはです」
 サチフもというのだ。
「仕掛けられません」
「バックブリーカーは」
「とても、それに」
「それに?」
「他の技も中々」 
 バックブリーカー以外の技もというのだ。
「仕掛けられなくなっています」
「体格が違いますと」
「どうしてもです」
「仕掛ける技も限られますね」
「プロレスでは」
「柔よく剛を制するといいますが」
 オグモは柔道の言葉を出した、だから柔道だというのだ。体格の小さな者が体格の大きな者を投げられる武道なのだ。 
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