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星河の覇皇

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第七十一部第四章 引き継ぎその十三

「それが敗因になった例もあるな」
「はい、ままにして」
「サハラではよくありますね」
「正規軍と政党所属の軍が対立したり」
「独裁者の親衛隊の横暴への正規軍の反発等」
「よくありますね」
「サハラでも」
 ここで彼等はサハラの話をしたのだった、戦乱に覆われている国なので滅亡した国も多くその滅亡の理由にこうしたものがある国も多かったのだ。
「何かとです」
「滅んだ国が多く」
「そして、ですね」
「我々はその轍を踏んではならない」
「そういうことですね」
「そうだ、対立よりはだ」
 まさにというのだ。
「融和だ」
「仲がいい」
「それに越したことはない」
「そういうことですね」
「もっともこれは難しい問題だ」
 オグモも国家内での軍同士の対立の問題が難しいことは理解していてそのうえで司令達に対して話した。
「どの国でもあったな」
「確かにそうですね」
「そのことはですね」
「ありますね」
「昔から」
「かつて軍隊がそれぞれの防衛対象で別れていた時代だが」
 陸海そして空に分かれていた頃だ。
「あの頃もあった」
「陸軍と海軍ですね」
「そして空軍とですね」
「それぞれ対立していた国もあった」
「そうでしたね」
「有名なのは日本だったな」
 第二次大戦中の頃のだ。
「陸軍と海軍のな」
「はい、戦史にもありますね」
「日本の陸軍と海軍の対立は」
「有名ですね」
「徹底的に対立していましたね」
「そうだった、あの国はだ」
 大日本帝国という国の名前だった時代だ、とかくこの時代の日本の陸軍と海軍は激しい対立の中にあった。
「末端の兵士達までが対立していてだ」
「作戦にも支障が出ていましたね」
「そしてそれが国家運営にも問題が出ていて」
「そのうえで、ですね」
「敗因の一つにもなりましたね」
「大戦において」
 確かに連合国軍との戦力差があったがこのことも問題だったのだ。
「会議の場でも常でしたし」
「陸軍と海軍はいがみ合い」
「そして対立していて」
「深刻な問題になっていました」
「そうしたことはだ」
 絶対にとだ、オグモはまた話した。
「あってはならないからな」
「だからですか」
「垣根を消す為に」
「正規軍と義勇軍はですね」
「レセプション等を行い」
「親睦を深めるべきですね」
「そうすべきだと思っている、そういえばだ」
 ここでオグモが言うことはというと。
「日本ではこうした話もあった」
「当時の日本ではですね」
「二十世紀中頃の日本では」
「陸軍の士官達が海軍のパーティーに招かれたのだが」
 作戦会議の途中の交流でだ。
「そこで海軍側はご馳走を出した」
「海軍といえば食事ですから」
「腕によりをかけてご馳走を出した」
「そうだったのですね」
「すると陸軍の士官の一人が怒りだした」
 辻政信という男だ、この人物についてはこの時代でも伝説になっている。とかく徹底的に空気が読めず世渡りなぞ考慮しない人物だった。 
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