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星河の覇皇

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第七十一部第四章 引き継ぎその八

「言われるのですね」
「そうだ、ソフトをはじめてからな」
「それはその通りですね」
「確かにな、身体は冷やし過ぎるとよくない」
「そしてです、ビールはです」
「身体を冷やす酒だ」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「そうした意味では」
「娘は正しいか」
「司令にはお言葉ですが」
「それはいい」
 嫌な言葉ではないというのだ。
「娘も私を気遣ってだからな」
「そう言われているのですね」
「暖める酒、ワインがいいとな」
「やはりワインですか」
「それで家ではワインを飲んでいる」
 娘の言うことに従ってというのだ。
「よくな」
「そうなのですね」
「蒸留酒も飲むしな」
 こちらの酒もというのだ。
「ブランデーなりを」
「そちらもですか」
「飲む」
「左様ですか、そしてカクテルもですね」
「そちらも飲む」
「今の様にですね」
「こうしてな、しかし今日のマティーニは格別だな」
 これで十三杯目だ、そのマティーニを飲みつつ言うのだった。
「何か違うのか」
「酒を変えました」
「だからか」
「はい、この店で使っているジュースに相応しい」
「その酒に変えたのか」
「同じ種類の酒でも種類がありまして」
「どのジュースに合うか合わないか」
 オグモも言う。
「それがあるのだな」
「はい、そしてです」
「合う酒を選んでか」
「味が変わりました」
「成程な」
「カクテルも使う酒によって味が変わります」
 マティーニにしてもというのだ、カクテルの王者と呼ばれているこのカクテルにしても。
「この様に」
「そうか、だからか」
「味が違っているのです」
「そういうことだな」
「それと司令今日の肴は」
 酒と共に口に入れるそれはというと。
「ナッツですね」
「この通りな」
 胡桃である、それを割って実だけを取り出したものが皿の上にあってそれを口に入れつつマティーニを楽しんでいるのだ。
「それだ」
「胡桃はいいものですね」
「酒、特にカクテルの味を引き立ててくれる」
「左様ですね」
「アーモンドやカシューナッツもいいが」
「胡桃もですね」
「またいいものだ、そして今日は胡桃が欲しくてだ」
 そう思ってというのだ。
「こうしてだ」
「口にされていますね」
「そうだ、それとだが」
 ここでだ、オグモは横目で彼の後ろで飲んでいる若い水兵達を見た。彼等はカクテルもワインも浴びる様に飲んでいる。
 その彼等を一瞥してだ、こう言うのだった。 
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