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星河の覇皇

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第七十一部第四章 引き継ぎその七

「司令は」
「どうも酒はだ」
「一度口にされますと」
「止まらない」
 気が済むまで飲むその時までというのだ。
「昔からな」
「そうなのですね」
「士官学校の時は外で飲んで酔い潰れてだ」
 そしてというのだ。
「危うく門限を破るところだったこともある」
「そうですか、それはまた」
「危うかった、しかしな」
「お酒はですか」
「止められない」
 これはというのだ。
「好きというレベルではない」
「そこまでなのですか」
「今はカクテルを飲んでいるが」
 それでもというのだ。
「他の酒もそうだ」
「お酒ならですか」
「その時に最初に飲んだ種類の酒をな」
 今はマティーニだ、それを飲みつつの言葉だ。
「それこそ満足するまでだ」
「飲まれますか」
「コニャックやジンも飲む」
 ストレートで、というのだ。
「それも好きだしワインもな」
「ではビールも」
「勿論だ」
 こちらの酒もというのだ。
「好きだ」
「そうなのですね」
「だがビールはだ」
 好きなものの一つだというこの酒は。
「あまり飲まない、特に家ではだ」
「飲まれませんか」
「むしろ飲ませてくれない」
 苦笑いでの言葉だった。
「娘に言われる」
「ビールだとですか」
「幾らプリン体がなくカロリーが少なくともな」
「身体によくないとですか」
「身体を冷やすと言ってな」
 だからだというのだ。
「娘が飲むと怒るのだ」
「それは確かに」
「その通りだな」
「はい、ビールは」
 バーテンダーも否定しない、酒のことはプロであり当然ながらビール、こちらの酒もかなり熟知しているのである。
「身体を冷やします」
「どうしてもな」
「ワインは身体を暖めますが」
「ビールはな」
「冷やします」
 身体をだ。
「そうしたお酒です」
「だからな」
「娘さんがですか」
「ソフトボール、ピッチャーをしていてだ」
「ああ、ピッチャーですと」
「特にだな」
「スポーツ選手は身体を冷やすことはです」
 この時代においてもだ。
「過度にはです」
「避けるものだな」
「身体を冷やし過ぎるとです」
「身体によくない」
「ですから」
「それでだ、私にも言うのだ」
「ビールを飲んで身体を冷やすなと」
 バーテンダーはオグモがマティーニを飲み終えてお代わりを言うのがわかっていたのでそれを作りつつ応えた。 
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