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星河の覇皇

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第七十一部第四章 引き継ぎその四

「ですから」
「どうしてもですね」
「このことも時間がかかる」
「そういうものですね」
「差別の問題は」
「そうだ、だから少しずつだ」
 まさにというのだ。
「解決していくしかない」
「左様ですか」
「では、ですね」
「司令もすぐにとは考えておられない」
「そうなのですね」
「そうだ、差別や偏見は抗生物質では治りはしない」
 医学にも例えてだ、オグモは話した。
「それは漢方薬で治す」
「そうしたものですね」
「差別、そして偏見は」
「じっくりと時間をかけて治す」
「そうしたものだ、事実を知ることだ」
 差別、そして偏見をなくす為にはというのだ。
「まずはな」
「同じ人間であることですね」
「劣っても優ってもいない」
「そして文化や文明に優劣はない」
「そうしたことも」
「結局は同じだ」
 人間ならばというのだ。
「連合もそれ以外もな」
「連合は確かに内部での衝突が多いです」
「まさに常に誰かと誰かが言い合います」
「文化と文明の衝突も常です」
「しかしやはり連合の中です」
「同じ連合という意識があります」
 一つの社会、仕組みの中にあるというだ。連合は確かにその中に多くの文化と文明が内在し国家も宗教も民族も実に多いがだ。 
 それでもだとだ、彼等も言うのだ。
「ですが連合としてです」
「この国の中にいます」
「連合という一つの世界に」
「共にいます」
「この国は一つの世界だ」
 幕僚の一人の言葉をだ、オグモは借りて言った。
「一つの経済圏でありな」
「そしてですね」
「一つの世界として完結している」
「だからこそですね」
「他の世界に関心が薄く」
「別の世界だと思っていて」
「そこに偏見が出来ている」
 そうなってもいるというのだ。
「私もこれまで意識してこなかったが」
「それが、ですか」
「意識される様になった」
「そうなのですね」
「義勇軍を見てわかった」 
 他ならぬその彼等をというのだ。
「義勇軍を見る正規軍、我々の目をな」
「異邦人ですか」
「難民である彼等を見る目が」
「その目を見てですか」
「そしておわかりになったのですか」
「閣下にしても」
「そうだ」
 その通りという返事だった。
「私もな」
「そういえばです」
「我々もです」
「何処かです」
「彼等をです」
「違う存在として見ていました」
「同じ人間であると意識していてもだ」
 それでもというのだ。 
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