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星河の覇皇

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第七十一部第四章 引き継ぎその三

「偏見、人種的なそれに基づいて相手を侮り」
「失態を犯した例は多いな」
「はい」
 その通りだとだ、幕僚はオグモに答えた。
「色々とそうした話はあったな」
「第二次世界戦もでしたね」
「イギリスは日本を侮り一気に太平洋を失いました」
「インドも失うことが確実になりました」
 そしてインドを失えばだったのだ、大英帝国の落日も確実だった。イギリスは日本を侮りマレーやシンガポールを植民地として失いインド、そして帝国としての栄光も失ったのだ。
「そうしたこともありましたね」
「相手を偏見を以て侮ると痛い目を見る」
「これは我々も同じですね」
「連合も」
「そうだ、だから偏見はだ」
 相手を侮りそれが失態につながるからというのだ。
「よくはない」
「どうしてもですね」
「それは避けて」
「そしてですね」
「相手を公平に見る」
「それが大事ですね」
「それでこそ充分に戦える」
 相手を正確に見て戦力を分析してこそというのだ。
「絶対にな」
「では、ですね」
「義勇軍に対してもですね」
「公平に見て」
「偏見もなくですね」
「そして接して」
「友好的にあるべきだ」
 是非にというのだ。
「同じ連合軍だ、しかも彼等はだ」
「難民達でもですね」
「同じ人間でありだ」
 そしてとだ、オグモは幕僚の一人に応えつつ話した。
「しかも連合市民になるのだからな」
「やがてはですね」
「それ故にですね」
「偏見を捨てて消し去り」
「そのうえで義勇軍と接して」
「友好関係を築く」
「そうしていくべきですね」
「彼等が外国人部隊的なものになってもだ」
 例えそれでもというのだ。
「同じ連合軍であり人間だからな」
「どうしてもですね」
「共にあるべきですね」
「連合軍は」
「軍人達もな、しかし思うことは」
 それはというと。
「このことは容易ではない」
「どうしてもですね」
「人の偏見を消すことは」
「それは一朝一夕にはいかない」
「そうなのですね」
「その様な簡単なものでもない」
 このこともだ、オグモはわかっているのだ。連合という国は他国への関心が薄いがその反面他国の人間への垣根も存在することも。
「どうしてもな」
「そうですね、差別はです」
「どうしてもすぐには解決しません」
「即座に解決しません」
「一度には」
「じっくりと時間をかけて解決するものです」
 例えばアメリカのアフリカ系の問題だ、十九世紀に問題があり二十世紀にかなりの進展があったことは事実だがアメリカ社会の長い問題であり続けた。 
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