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星河の覇皇

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第七十一部第三章 小国出身者その三十二

 デザートはフルーツだ、そのメニューを見て司令達は言った。
「これも連合ですね」
「八宝菜は中国です」
 この国の料理だ、西太后が宮廷の者達が残りものを調理しているものを美味いと聞いて食べてみて名付けたという。
「そしてスパムはアメリカです」
「ステーキもまた」
「生春巻きはベトナム」
「この十六穀入りの御飯は日本ですね」
「それぞれの国のものを食べる」
「連合らしいですね」
「そうだな」
 オグモも司令達の言葉に答えた。
「こうして食堂で階級の関係なく食べることもな」
「他の国では士官は士官室です」
「そこで食べますが」
「連合では士官も食堂で食べます」
「しかも同じものを」
「実に連合的ですね」
「階級のない国らしいです」
 連合の者達としてだ、彼等も話す。
「実に」
「むしろこれがあるべき姿ですね」
「人間は同じですから」
「何といっても」
「そうだ、階級はまやかしだ」
 オグモもこう言う。
「だからだ」
「こうしてですね」
「誰もが同じ場所で同じものを食べる」
「それが正しい姿であり」
「連合はそれを体現していますね」
「軍隊においても」
「何故士官と下士官、兵士で分けるのか」
 オグモはこうも言った。
「それ自体がおかしい」
「特にエウロパですね」
「あの国がそうですね」
「エウロパは貴族が士官ですし」
「士官は士官専用の料理を食べます」
「これ自体がおかしいです」
「貴族制度の歪みです」
 それの象徴の一つだと実際に連合では言われている。
「どうかしています」
「将官といえど同じ人間ですし」
「食堂で食べるべきです」
「それこそ同じものを」
 兵士達と、というのだ。
「美味しいですし」
「間違っていません」
「うむ、その通りだ。そしてだが」
 箸とフォークにナイフ、スプーンを使いつつ夕食を食べながらだった。オグモは彼の部下である艦隊司令達にこうも言った。
「実は君達を夕食に誘ったのには理由がある」
「といいますと」
「それは何でしょうか」
「どうしてでしょうか」
「実はこのスパムのステーキだ」
 今実際に彼等の前にある、五百グラムはある見事なものだ。
「この船ではステーキがよくてだ」
「このスパムのステーキもですね」
「実に美味い」
「そのステーキを我々にも味わってもらいたい」
「だからですか」
「呼び止めたのだ」
 そして共に食べるというのだ。
「こうしてな」
「そうですか、確かにです」
「いい焼き加減ですね」
「塩胡椒の味付けもよく」
「ソースも絶品です」
「この艦の給養員は肉料理がよくてな」
 それでというのだ。
「特にステーキが絶品だ」
「確かに見事です」
「このステーキは美味しいです」
「スパムがどういうことかもわかっている」
「そうしたものですね」
「幾らでも食べられるな」 
 オグモもそのステーキを食べつつ言う。 
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