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星河の覇皇

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第七十一部第三章 小国出身者その十九

「私は充分だと思っている」
「より、とは」
「思わない」
 むしろという返事だった。
「それはな」
「元帥、ひいては」
「元帥の役職もだな」
「宇宙艦隊司令長官は」
「なれたらいいとは思う」
 この感情はだ、オグモも否定しなかった。
「決してな、しかし」
「それでもですね」
「なれないものは仕方がない」
「司令では、ですか」
「そうだ、私はな」
「階級としてはですか」
「階級の話を言うと露骨だが」
 権力志向に思われるというのだ、ただ純粋にその立場になりやりたいこと、やるべきことをしたいと考えていてもだ。
「しかしだ」
「大将に、ですね」
「やはり将官になるのならな」
「そこまで、ですね」
「なりたかったしな」
「各国軍では殆どが大将でしたし」
「大国で一人位だった」
 それこそ日米中露といった連合でも大国とされている国々でだ。
「統合作戦本部長位のな」
「制服組のトップがでしたね」
「元帥になれる」
「それ位でしたね」
「そう思うとだ」
「元帥は、ですか」
「考えていなかった」
 実際にそうだったというのだ。
「士官学校にいた頃はな」
「お国の、ですね」
「大将となり宇宙艦隊司令長官になりだ」
「そして、ですか」
「艦隊をより効率的に動ける精鋭にしたいと思っていた」
「訓練に訓練を重ね」
「そう思っていた」
 若き日、士官学校にいた頃はというのだ。
「あくまでかつてだがな」
「そして中央軍にですね」
「編入されてからはだ」
 各国軍の殆どが編入された、各国に残された軍隊は実に少ない警備隊程度の規模のものだった。
「軍か軍団の司令官になりだ」
「そのうえで」
「連合軍の艦隊を精鋭化に携わりたいと思っていた」
「それで、ですか」
「今で満足している」
「元帥とはいかずとも」
「今でな」 
 まさにというのだ。
「そう考えていた」
「だから今で、ですか」
「満足している」
「そうなのですね」
「そもそも私の国には元帥の階級は存在してもな」
「名誉的なもので」
「任命された者はいなかった」 
 それこそ一人もというのだ。
「誰もな」
「どうしてもですね、私の祖国でもでした」 
 ウッディもオグモに話した。
「元帥の階級は存在しても」
「実質は、だな」
「歴史上一人もです」
「存在しなかったな」
「なることはです」
「なかった」
「階級の最高位は大将でした」
 ウッディの国もというのだ。 
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