星河の覇皇
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第七十一部第三章 小国出身者その十八
「今回の磁気嵐だったのだろう」
「そうなりますね」
「まさにそれですね」
「調査に漏れがあった」
「そうした自然現象でしたね」
「若しかしたら十年か二十年に一度のものだったかも知れない」
彼等が遭った磁気嵐はだ。
「それならだ」
「仕方ないですね」
「それならですね」
「磁気嵐のことは報告し」
「そして、ですね」
「先を急ぐべきですね」
「そうするしかない」
軍人としてだ、オグモは失態は失態として受け止めていた。それが突然の自然災害によるものであるがだ。
それと共にだ、こう言ったのだった。
「失態を取り戻すだけだ」
「だからですね」
「今は急ぎましょう」
「軍団全体の速度を速めましょう」
「任地まで」
「その様にな」
連合軍大将の軍服を着たオグモは幕僚達にも司令達にも言った、そうして彼が率いる第六軍団を急がせた。
軍団の速度は速まった、ワープの数も増えた。何度目かのワープ航行に入ったその中でオグモはダゴンの艦橋において。
軍団副司令のアサモ=ウッディからだ、こんなことを言われたのだった。
「司令のことが統合作戦本部にもです」
「届いているのか」
「はい」
ウッディはその褐色の、アフリカ系の肌の顔で応えた。だが髪の毛は金髪であるがこれはコーカロイドの母の血だ。出身はリベリアだ。
「そうです、見事だったと」
「そうか、それは何よりだな」
オグモもその話を聞いて笑顔で応えた。
「では表彰か」
「そうなるかと、ただ」
「それでもだな」
「司令は、ここだけの話ですが」
小声になってだ、ウッディはオグモに囁いた。
「どうも司令は」
「今のままでだな」
「階級については」
「大将、今からはだな」
「ない様ですが」
「そうだろうな」
オグモ自身受け入れている言葉だった、それを何でもないといった顔で語る。
「それは」
「それでもいいのですね」
「精々軍司令官だ」
オグモの先はというのだ。
「大将としてな」
「そうなりますね」
「元帥はない」
「残念です」
ウッディは無念の顔で言った。
「それは」
「そう言うか」
「はい、司令ならば」
「仕方ない、元帥の席は三十しかない」
元帥の役職はというのだ。
「それではだ」
「その三十人になれないことも」
「仕方がない」
こう言うのだった。
「だからな」
「むしろ大将で、というのですか」
「大将になれるだけでもだ」
オグモは屈託なく笑ってウッディに応えた。
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