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星河の覇皇

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第七十一部第三章 小国出身者その十一

「人口は非常に少ないがな」
「保有している星系は多いですし」
「資源は豊富です」
「産業自体まりますし」
「国力を見れば大国です」
「それにその歴史は秀逸です」
 モンゴルのそれはとだ、幕僚達はこのことも指摘した。
「モンゴル帝国ですから」
「あの世界帝国の国です」
「かつて世界の五分の三を領有し人類社会の全てに影響を与えた」
「空前絶後の帝国でした」
「そうだ、チンギス=ハーンの国だ」 
 この時代においてもモンゴル最大の英雄となっている、連合全体で英雄の一人とされているがモンゴルでは特別な存在となっている。
「それだけにな」
「連合においてですね」
「また別格とされていますね」
「四大国、ひいては六大国程ではないにしても」
「連合創設以来の国でもありますし」
「大国扱いですね」
「そうだ、だから元帥を出せている」
 統合作戦本部長のバールだ、連合軍制服組のトップである。
「あの国はな」
「そうですね、しかし」
「チャドになりますと」
「小国です」
「連合創設以来の国ですが」 
 このことは紛れもない事実ではある。
「しかし人口も国力も」
「資源も産業もです」
「連合の中では小さいです」
「そうした国なので」
「元帥も出せないということですね」
「幾ら優秀な人物であっても」
「元帥の枠は限られている」
 ファイルのオグモの顔を見つつだ、サチフは言った。その群青色の瞳を持つアフリカ系そのものの顔立ちと肌の彼の顔写真をだ。ファイルには身長二〇五とある。
「残念だがな」
「三十人ですね」
「三十人以上はない」
「正規軍は」
「どうしても」
「そうだ、それ故にだ」
 まさにというのだ。
「彼は精々軍司令官だ」
「大将のままで」
「階級はそのままですね」
「連合軍は大将にはランクがありますが」
 軍団司令官相当と軍司令官相当だ、同じ階級でもランクがあるのだ。軍司令官相当の大将はエウロパやサハラでは上級大将となる。
「しかしですね」
「階級が変わらないことは事実ですね」
「元帥にはなれないですね」
「どうにも」
「確かに元帥は連合では特別だ」
 各国軍しか存在しなかった頃から元帥の数は連合全体でも非常に少なかった。軍隊の規模が大きい大国にそれぞれ一人か二人しかいなかった。
「まさにな」
「非常に少ないですね」
「元々連合の軍制度では」
「エウロパとは違い」
「僅かしかいませんでした」
「それで今の中央政府軍もですね」
「少ない」
 軍の規模に比してだ。
「どうも民主主義の軍隊は元帥が少ないな」
「その傾向がありますね」
「どうにも」
「連合を見ていますと」
「民主主義国家では軍に元帥は少ないですね」
「大国に一人か二人いればいいです」
 その程度だとだ、彼等も話す。
「だからですね」
「三十人ですね」
「正規軍で」
「大将までは多いが」
 もっとも将官自体が佐官までからかなり少なくなる。 
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