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レーヴァティン

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第百十一話 都からその六

「厳密に中立を守っていたな」
「そうでござるな、有り難いことに」
「俺達に有利とか」
 英雄は智に鋭い目になり述べた。
「そうとか」
「考えたでござるか」
「そしてだ」
 その為にというのだ。
「俺達にはつかないが」
「近江の方にもでござるな」
「つかなかった」
「そうでござるか」
「ならだ」
 それならと言うのだった。
「俺達にしてもだ」
「このことはでござるな」
「歓迎してだ」
「戦の後は」
「比叡山が降ればな」
 その時はと言うのだった。
「寛大にだ」
「対しますか」
「そうしよう」
 こう言うのだった。
「あちらもそれを考えだ」
「あえてですか」
「厳密に中立を守っているのかもな」
「先がわかっているからこそ」
「ならいい、頭がいいことはだ」
 この場合先が見えるということだ、英雄は述べた。
「己の身を守る」
「ここで比叡山が中立であってもでござるな」
「近江の動きに目を瞑っていたならな」
「あちらが知らぬ存ぜぬでも」
「俺達は悪く思う」
 このことは避けられないというのだ。
「絶対にな」
「それがわかっているとのう」
 当季も言ってきた。
「やっぱりぜよ」
「愚かなことはしないな」
「そうぜよ」
 まさにというのだ。
「だからぜよ」
「厳密に中立を守っているな」
「そうみたいじゃのう」
「ならだ」
 それならとだ、英雄は当季にも話した。
「ここはだ」
「比叡山に感謝してじゃな」
「そうしてだ」
「敵と戦うのう」
「そうするが敵の動きだが」
「それな」
 今度は耕平が言ってきた。
「今近江と越前、若狭の殆どの軍勢を集めてな」
「そうしてか」
「こっちに向かってきてるで」
 そうしてきているというのだ。
「その数四万や」
「そうか、まさに総力戦だな」
「それを挑もうとしてきてるわ」
「こちらの十四万の軍勢に対してな」
「四万や」
「兵の数では俺達が圧倒していてだ」
 そしてとだ、英雄は言った。
「そのうえでだ」
「装備もな」
「俺達の方が上だが」
「相手も必死やで」
 耕平は英雄にこのことを話した。
「見たら多くの兵が血走った目をしていてな」
「決死の顔か」
「それでこっちに来てるわ」
 そうした状況だというのだ。
「そやからな」
「戦になるとだな」
「よおさんの奴が死兵となってこっちに来るからな」
「苦戦が予想されるな」
「敵の数と装備は劣っててもな」
「そうだな、ではな」
 英雄は耕平のその話を聞いて述べた。 
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