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レーヴァティン

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第百十一話 都からその五

「予想しているな」
「この道しかないので」
 それでというのだ。
「敵もです」
「それならな」
「はい、必ずです」
「近江に入るとな」
「すぐにでもです」
「仕掛けるな」
「伏兵等も」
 これもというのだ。
「有り得ます」
「地の利はあちらにある」
「ですから」
「それはあるな」
「丁度です」
「山城から近江に入る道の左右はな」
「山です」
 それが連なっているというのだ。
「ですから」
「それでだな」
「山の木々の中に入り」
 そしてというのだ。
「伏兵としてです」
「待ち伏せをしていてもな」
「おかしくありません」
「ならだ」 
 そう聞いてだ、英雄はすぐに言った。
「物見をだ」
「そういった場所にもですね」
「出そう、特に空船だ」 
 この船をというのだ。
「出してだ」
「空からですか」
「よく見てだ」
 その様にしてというのだ。
「じっくりと行き先をな」
「事前にですね」
「観ていこう」
「それでは」
「確かに比叡山は中立だが」 
 丁度山城から近江に入った辺りもこの寺の勢力圏となっている、英雄はこのことがわかっているから言うのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「見て見ぬ振りは出来る」
「中立ならですね」
「ばれても知らぬ存ぜぬだ」
 その様に言い逃れをして、というのだ。
「終わりだ」
「中立でもですね」
「そうしたことは出来る」
「だからですね」
「物見は出す」 
 それも多く、というのだ。
「空船も使ってな」
「それでは」
「行く先に後ろもだ」
 即ち退路もというのだ。
「そうしてだ」
「状況をよく観て」
「周りのな、そうしてだ」
「近江に入り」
「戦う」
 こう言ってだった、英雄は実際に物見の兵を多く出すことも決めた。それは空船についても同じであり。
 彼等は都を出てそこから進軍した、その兵は十四万であり敵を圧倒していることは明らかだった。だがそれでもだった。
 英雄は油断せず先に進んだ、そしてだった。
 近江に入った、ここまでは何もなく言った。
「さて、ではな」
「ここまではでござるな」
「無事に来ることが出来た」
「懸念していた伏兵もなく」
「幸い比叡山もだ」
 この寺もというのだ。 
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