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星河の覇皇

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第七十一部第三章 小国出身者その七

「どうしてもだ」
「はい、能力主義ですね」
「それで人事を決めるべきですね」
「出身国や入隊の課程にこだわらず」
「能力で考えるべきですね」
「サハラでもそれはあるがだ」
 出身国や入隊のコースが昇進等に影響することがだ、例えば滅ぼされた国の軍人は滅ぼした国の中では非主流派になる。銀行の合併で吸収された方の銀行員達が非主流派になることと同じと言えばそうなるか。
「しかしだ」
「連合は、ですね」
「その傾向が強いですね」
「サハラよりも」
「そうなっていますね」
「そう見える」 
 サチフの目にも幕僚達の目にもだ。
「どうにもな」
「実際にそうですね」
「どうもです」
「戦争のない国の軍隊の特徴でしょうか」
「特に入隊コースが影響していますね」
「一般兵士から入った者は下士官にはなれますが」
 所謂セーラー服組だ、連合軍では兵士はセーラー服なのでこれがそのまま通称にもなっているのである。
「士官にはなれません」
「下士官候補兵士もです」
「下士官になれますが」
「士官は難しいです」
「どうにも」
「それが下士官候補生学生になりますと」
 セーラー服ではなく七つボタンの詰襟の軍服、軍帽も最初から下士官のものとなっていて一目でわかる様になっている。
「これがです」
「全く違いますので」
「下士官に二年でなれます」
 一般では十年でなれない者も結構いる、試験に通れば下士官になれるがそこまでの学力がない者も一般には多いのだ。
「そしてそれから四年で部内士官です」
「その試験を受けられますし」
「下士官候補学生が受験すればほぼ確実に合格します」
「それこそ名前を書き忘れない限り」
 そもそも部内士官というもの自体が下士官候補学生を士官にする為の試験であるとさえ言われている位である。
「入試の難易度も同じ程度ですし」
「部内士官の試験と下士官候補学生の入隊試験は」
「そうしたものを見ましても」
「候補学生は士官にもなれます」
「しかも佐官まで」
 一般、候補兵士は士官になっても尉官までが殆どと言われている、少佐になれば兵隊元帥とまで言われる。
「大佐にはなれます」
「流石に将官は無理ですが」
「戦艦の艦長クラスにはなれるので」
「明らかな違いがありますね」
「試験だけで決まるとだ」
 それこそとだ、また話したサチフだった。
「どうにもな」
「はい、人材がですね」
「入試だけで決まるのなら」
「やはり限られます」
「軍人としての能力は見られないとなりますと」
「エウロパ軍は階級が大きい」 
 サチフはこの軍隊の話もした。
「やはりな」
「貴族は必ず士官です」
「例えどれだけ爵位が低くとも」
「貴族ならばです」
「必ず貴族です」
「それは絶対です」
「貴族は必ず大学まで出る」
 エウロパでは明文化されている、そうしなければならないとはっきりと定められているのである。 
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