星河の覇皇
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第七十一部第三章 小国出身者その五
「何故か」
「そうなっているな」
「そうですね」
「やはりこれはだ」
「八条長官としてもですね」
やはり軍人の人事を最初に決めるのは国防長官である彼だ、彼から閣議に出されそこで決定されて議会で決められるのだ。
「あの方にしましても」
「実力主義でもだ」
「議会が、ですね」
「議会も大国の存在がありだ」
「その大国の意向が動く」
「どうしても」
「上下両院はそうでなくともな」
「その上の」
ここでもだ、連合特有の三院制が影響しているのだ。
「各国首脳のですね」
「会議がな」
「頷かないですね」
「中々な」
それでなのだ。
「無言の言葉もあるからな」
「それも大きいですね」
「これが他の省庁なら違うが」
「軍については」
「そうした傾向がある様だ」
大国の意向が影響しているというのだ。
「それは八条長官でもだ」
「排除しきれなかったのですね」
「あの方も排除したかったと思うが」
「このことについては」
「及ばなかった様だ」
「あらゆることで優れた采配を見せておられますが」
「完璧な存在はだ」
「はい、アッラーのみです」
幕僚はサチフに答えた。
「この世では」
「そうだな、だからあの方もだ」
「人であられるので」
「完璧ではない」
それ故にというのである。
「だからだ」
「このことでは」
「そうなっているのだ、中々だ」
「全てが中央政府主体とはですね」
「いかない、大国も国防で存在感を示したい」
各国のそれをだ。
「だからだ」
「どうにもです」
「小さなことでありますね」
「大国のエゴといっても」
「どうにも」
幕僚達はここまで聞いてだ、口々に苦い顔で言った。
「元帥の人事に介入して」
「表立ってではないにしても」
「そうして介入してです」
「大国出身者しか元帥になれないというのは」
「人材も制限されますし」
優れた者を登用することに関してだ。
「よくありませんね」
「連合は確かに各国の権限が強くそれで内部衝突も多いですが」
「この件は特にですね」
「望ましいものではないですね」
「全くだ、わしにしもてな」
サチフもウイスキーを飲みつつ言う、ロックのそれは氷が冷やしているだけでなく氷が溶けて水もウイスキーに入り飲みやすくもなっている。
「連合らしいと言うべきにしても」
「嫌な意味で、ですね」
「それはいいものではありませんね」
「決して」
「そうしたものですね」
「全くだ、どうもだ」
さらに言うサチフだった。
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