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星河の覇皇

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第七十一部第三章 小国出身者その四

「しかし蒸留酒は」
「アルコール度が強いせいで」
「どうしてもです」
「飲めませんね」
「アッラーも流石にお許しにならない」
「そう言われて」
「妙な理屈だとは思うが」
 それでもとだ、サチフはウイスキーをロックで飲みつつ言った。
「しかしだ」
「サハラではそうなっていますね」
「蒸留酒は休憩中でもです」
「軍艦の中では飲めない」
「居酒屋でも裏です」
「裏のメニューです」
「ほぼ密造、密輸入扱いだ」
 違法ではないが合法でもないというのだ。
「実際な」
「そうですね」
「どうしても」
「しかし連合では違いますね」
「この国では」
「蒸留酒も飲めます」
「この様に」
「それもまたいい、どうもだ」
 飲みつつだ、サチフはまた言った。
「サハラよりもな」
「連合の方がですね」
「暮らしやすいかも知れませんね」
「自由でタブーも少なく」
「豊かですし」
「そうだな、我々は連合の人間ではないが」
 難民だ、この立場であるのは紛れもない事実だ。
「しかしだ」
「その我々から見てもですね」
「連合は暮らしやすい世界ですね」
「何かと」
「そうした社会ですね」
「そう思う、私はこれ以上はないが」
 軍人としての昇進はだ、サチフはこのことについてまた言及した。
「しかしだ」
「それでもですね」
「大将にまでなることが出来た」
「このことで充分とですね」
「考えておられますか」
「そう思う、私はな」
 サチフ自身はというのだ。
「他の者は知らないが」
「そういえば」
 一人の幕僚がジンを水割りで飲みつつ言った。
「正規軍ですが」
「彼等か」
「はい、彼等はです」
 その正規軍はというのだ。
「もっとも彼等もというべきか彼等から我々がそうなっていると言うべきか」
「大将の数は多いが、だな」
「元帥は非常に少ないです」
 そうなっているというのだ。
「三十人ですから」
「その話に戻ったな」
「そしてその元帥は」
 三十人しかいない彼等はというと。
「大国出身者ばかりですね」
「そうだな」
「明文化されていませんが」
「元帥になる者は」
「連合の大国の者ばかりでな」
「各国から一人ずつだな」
「まるで決まっているかの様に」
 まさにというのだ。 
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