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星河の覇皇

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第七十一部第二章 ゾロアスター級超巨大戦艦その三十六

「ですから迂闊にはです」
「外出も出来ない」
「どうやら」
「勘付かれたな」
「連合も愚かではないですね」
「全くだ、私はだ」
 実はとだ、ルクシャはここで自分達のことを言った。
「表向きは観戦武官だがな」
「実は」
「諜報部員だ」
「この超巨大戦艦の細部まで調べる」
「それもまた目的であるがだ」
「それは、ですね」
「難しくなったな」
 こうハークに言うのだった。
「これまで通りにはいかない」
「そうなりましたね」
「彼等も愚かではない」
 連合もというのだ。
「我々の考えに気付いた」
「マウリアの」
「それで手を打ってきた」
「気付けばすぐにですね」
「産業スパイには敏感な国というが」
「ですが軍事では」
「そうした傾向はないと思っていたが」
 これまでのルクシャの見方ではだ。
「それが違っていたな」
「私の見方ですが」
 ハークはここで彼の見立てを話した。
「このことに気付いたのは」
「あの長官殿か」
「八条義統長官だと思います」
「そうだろうな、あの長官殿はだ」
「切れ者と評判ですし」
「しかもその評判以上にだ」
「切れる方ですか」
「私はそう見ている」
 相当な量の御飯とルー、野菜も鶏肉も大量に入っているカレー彼等の言うカリーを食べつつ言うのだった。
「あの長官殿はな」
「だからですね」
「気付いたな」 
「我々の思惑に」
「既にある程度情報を手に入れてだ」
「エウロパに流していることにも」
「気付いている」
 まさにというのだ。
「だから早速手を打って来たな」
「やはりそうですか」
「だから私も君もだ」
「迂闊にはですね」
「動けなくなった」
「そうだ、全く以てだ」
 ルクシャはこうは行っても余裕のある笑みだった、そのうえでの言葉だ。
「あの長官殿は強敵だ」
「同盟国の方ですが」
「同盟国といってもだ」
「はい、実は」
「こうした時は敵になる」
「同盟国の情報を手に入れる時は」
「敵だ」
 そうなるというのだ。
「相手も軍事機密を渡さない」
「知られたくないものは同盟国に対しても隠す」
「それが政治であり軍事だからな」
「だからこの場合は」
「あの長官殿も敵だ」
 そうなるというのだ。
「あの御仁もな」
「その通りですね、しかし」
「そうだ、これで諦めることはだ」
 それはというのだ。
「考えていない」
「大佐も」
「マウリア人は諦めが悪い」
 余裕のある笑みはそのままだった。
「連合のどの国の人間よりもな」
「実は、ですね」
「そうだ、実はだ」
 まさにというのだ。 
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