星河の覇皇

「あの国は何かとだ」
「油断出来ませんね」
「連合の同盟国ですがエウロパの同盟国でもありますので」
「それ故に」
「エウロパに肩入れもしますし」
「実際に今がそうですね」
「全くだ、腹芸も得意だ」
　マウリア、この国はというのだ。
「口に蜜というが」
「腹に剣ですね」
「そうした言葉もありますが」
「それがマウリアですね」
「あの国の特徴でもありますね」
「韓戦武官も然りだ」
　その彼等もというのだ。
「一見すると穏やかだが」
「情報を盗みますし」
「技術も狙う」
「そうしてくるからですね」
「油断が出来ないですね」
「どうしても」
「その通りだ、中々だ」
　リバーグの顔は難しいままだ、そのうえでの言葉だ。
「油断も出来ないしな」
「ではこの超巨大戦艦も」
「油断すれば」
「技術を盗まれ」
「エウロパにその技術を横流しもされますか」
「その可能性もだ」
　実際にというのだ」
「否定できない」
「この艦は軍事l機密の塊です」
「監視をつけておかないと」
「まずいですね」
「一人にしないことだな」
　何といってもという口調だった。
「彼等を」
「それがいいですね」
「一人にしますと」
「探りはじめます」
「そうしますので」
「それも武官の仕事だ」
　相手国の兵器を見ることもだ。
「そこから情報を仕入れることはこちらも承知だが」
「そのうえで観戦してもらっていますし」
「このことは折込済みですが」
「ですがそれでも」
「それが過ぎますと」
「やはり」
「そうだ、望ましくはない」
　あくまで程度の問題だというのだ、こちらの手を見せることもだ。
「見せるべきものは見せてだ」
「見せたくないものは見せない」
「軍事、ひいては政治の常ですが」
「この度もですね」
「そうだ、一人だけにせずにだ」
　マウリアから派遣されている韓戦武官達をというのだ。
「目付を今以上に付ける様に国防省から通達があった」
「では」
「その様にしましょう」
「最新の軍事技術をエウロパには渡せません」
「流石にそれは」
「技術でもだ」
　軍事技術、この技術においてもというのだ。
「我々は先に立つ」
「それも遥かに」
「エウロパに対して」
「数と物資だけでなく」
「システムと、さらにですね」
「そして常に圧倒していなくてはだ」
　仮想敵国である彼等と、というのだ。
「戦いにくい、ではな」
「それではですね」
「まずマウリアに情報を渡さない」
「見せなくていいものは」
「決してですね」
「マウリアだけならまだいい」
　軍事機密を見られることはだ、このこともある程度認識してそのうえで観戦武官として乗艦を許しているのだ。