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星河の覇皇

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第七十一部第二章 ゾロアスター級超巨大戦艦その二十八

「長い間な、それで市民権はなくともだ」
「それでもですね」
「待遇自体は悪くはない」
「法的な差別はない」
「お店でも普通に飲み食いが出来ますし」
「買いものも出来ます」
「しかしだ、目はだ」
 心の中にある偏見、それが目に出ている故にだ。
「感じる」
「差別の視線を」
「どうしてもですね」
「悪質な者は言葉に出してもきますし」
「差別がないかといいますと」
「それは嘘ですね」
「差別のない社会はないというが」
 俗に言われる言葉だ、グータルズはこの言葉も出した。
「連合も然りだな」
「人種や民族、宗教の差別は乗り越えらても」
「異邦人についてはですね」
「他の国の人間に対するそれは存在している」
「消えないのですね」
「どの国にも何かしらの差別がある」 
 まさにというのだ。
「そういうことだな、しかし法的な差別はなくだ」
「この義勇軍にいれば」
「期日が来れば家族にも市民権が与えられます」
「そうなれば完全に市民として待遇を得られ」
「難民でもなくなりますね」
「異邦人のままでも」
「そうなる、それにこの義勇軍はだ」
 義勇軍自体についてもだ、グータルズは話した。
「正規軍とは違う」
「確かに常に前線に立ちます」
「真っ先に火事場に飛び込みます」
「軍の先陣、殿軍を受け持つと決められています」
「危険は多く死傷率も高いです」
「ですがそれでも」
「実力さえあればだ」
 即ち功績を挙げればというのだ。
「昇進が速い、私も准将だ」
「今や」
「そうなりましたね」
「そうだ、この前結成された義勇軍に入ったがだ」
 感覚的にだ、グータルズは難民として働いていたがそこで義勇軍の募集を受けて志願して入隊した。それから瞬く間だというのだ。
「今やそうなった」
「少尉からでしたね」
「もうそうなりましたね」
「正規軍の尉官よりも速い昇進ですね」
「このことは事実ですね」
「功績がすぐに認められてだ」
 そしてというのだ。
「その功績に相応しい昇進を遂げられる」
「この義勇軍では」
「命を賭けて戦うだけあり」
「速い昇進も可能である」
「そうした軍隊ですね」
「下士官から士官になることもだ」
 兵士から下士官になることもである。
「実力さえあればな」
「迅速ですね」
「正規軍では入隊した課程が大きく影響しますが」
「一般兵士からですと下士官は狭い門です」
 下士官候補学生や下士官候補兵士があるからだ、候補学生は二年で下士官に必ずなり候補兵士は三年から七年である。
「しかし義勇軍では功績を挙げれば」
「すぐに昇進します」
「二階級特進も珍しくありません」
 無論戦死でのそれではなく生きたうえでだ。
「すぐに昇進出来ます」
「あくまで実力があればですが」
「実力があれば」
「私も准将になった」
 一士官からだ、彼はエウロパ戦役で多くの功績を挙げてそれが認められて今や准将即ち将官になったのだ。 
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