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八条学園騒動記

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第五百十一話 図書館で学ぶことその四

「本物の悪人も書いてるわね」
「オセローのヤーゴだな」
「あとマクベス夫人とか」
「マクベス自身もな」
「あの夫婦は悪人よね」
「まさにな」
「最初は生粋の武人だったけれど」
 ヤーゴもマクベスもだ、作中でそのことが強く書かれている。これもまたシェークスピアの演出である。
「それがね」
「嫉妬とか権力欲でな」
「どんどん歪んでいって」
「悪人になっていくな」
「人はどうして悪人になるか」
「それを大昔に書いてるのも凄いな」
「現代チックにね」
 この時代でもそうした人間描写はテーマになっている、創作において人間を描くことは極めて重要なことだからだ。
「そこもね」
「ちゃんと書いているからか」
「私としてもね」
「読み応えがあってか」
「面白くて人間、人生を学べる」
「哲学書よりいいか」
「難しい言葉も出ないし」
 このことも言うナンシーだった。
「これもいいでしょ」
「お前難しい言葉苦手か」
「さっき言ったでしょ」
「哲学書のそこが嫌か」
「その哲学者の造語が出て」
 それでというのだ。
「そこからあれこれ話すでしょ」
「それが嫌か」
「そう、それ何って思ってたら」
 哲学者の造語がだ。
「そこからどんどん話が進んでね」
「訳がわからなくなるか」
「難しい言葉で難しい話をして」
「そしてわからないか」
「何を書いているのか」
 それすらもというのだ。
「わからない位だから」
「哲学書は読まないか」
「そう、私はね」
「それで古典を読んでいるんだな」
「あんたと違う目的でね」
 大器になることを目指す洪童とはというのだ。
「人生、人間を勉強する為よ」
「それも面白くか」
「その為よ、というかわからないのなら」
「読んでもか」
「意味ないから」
 それでというのだ。
「わかりやすくて面白い」
「そうした本を読むべきか」
「わからない本読んで何かあるの?」
 ナンシーはこうまで言った。
「そもそも」
「そう言われるとな」
「意味ないでしょ」
「ああ、確かにな」
「そう、本当にね」
「だからシェークスピアか」
「物凄くわかりやすいし」
 読んでいてというのだ。
「面白いからいいのよ」
「シェークスピア最強か」
「哲学的にもね」
「そうなんだな」
「私はそう思うわ」
「ナンシーとしてはか」
「だから私哲学書苦手だし」
 そもそもというのだ。 
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