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星河の覇皇

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第七十部第四章 賊達への攻撃その三十

「実際に私は」
「得意ではないな」
「はい」
 こう答えた。
「好きではないですし」
「そうだな、しかしだ」
「時として、ですね」
「政治には必要だ」
「そうした策略も必要だ」
「権謀術数はですね」
「歴史にもあるな」
「はい、何かと」
 政治では常だ、まさに。獅子の様に強く狐の様に賢くとあるのはマキャベリにある言葉であるが賢くというのが謀略だ。
「多いですね」
「この連合でもだ」
「むしろこの国は、ですね」
「多いな」
「はい、何かと」
 まさにとだ、八条も答える。
「その千年の歴史で」
「賄賂は常だ」
 これを相手に贈ることはだ。
「それで取り込んだりすることはな」
「そして相手を陥れることも」
「また普通だ、相手を分裂させることもな」
「それもですね」
「ごく普通だ」
「とかく様々な謀略が行き交っていますね」
「暗殺は殆どないがな」
 連合においてはだ、ただサハラではそれが違う。連合ではそれよりも買収が好まれる。この方が刺客を送ったり毒を仕込むより楽な手段であり効果があるからだ。
「賄賂やスキャンダルが多い」
「それが常ですね」
「脛に傷を持っていない者はだ」
「そうはいないですね」
「中には例外もいるがな」
 ロベスピエールの様な完全無欠と言っていいまでに清廉潔白な人物がだ、この悪名高き独裁者は人間としては賄賂にも女性にも極めて清潔でありそうしたものには一切手をつけないそうした工作の通じない人物だった。
「しかしそれはだ」
「あくまで例外で」
「そうした人物でもだ」
「謀略は使えるというのですね」
「それが出来るからだ」
 それ故にというのだ。
「連合ではだ」
「様々な謀略が常に行き交っていますね」
「各国の間でもな」
「では」
「その各国に対してだ」
 彼等と対するその時はというのだ。
「仕掛けていこう」
「是非にですね」
「そうしてだ」
「各国政府に対しますか」
「謀略を防ぎそれと共にだ」
「仕掛けて」
「相手の力を弱めていく、この際はだ」
 目を光らせてだ、キロモトは八条に述べた。
「私と首相で行う」
「そうされますか」
「君は金内相はこのままだ」
「政務に、ですか」
「そうなる、専念してもらう」
 こうも告げたのだった。
「それでいいな」
「それでは」
「君は謀略が苦手だからな」
 このことがわかっているからこそというのだ。
「そうさせてもらう」
「それでは」
「こうしたものも得手不得手がある」
「謀略も、ですね」
「その謀略の性質によってもな」
 それぞれというのだ。 
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