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星河の覇皇

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第七十部第四章 賊達への攻撃その三十一

「それがあるのだ」
「そうしたものですね」
「君もそれはわかっていると思う」
「それは確かに」
 八条は確かに謀略は苦手だ、だがそれでもと答えたのだった。
「歴史を見ていますと」
「謀略を得意とする人物でもな」
「そのそれぞれの謀略で得手不得手がありますね」
「例えば君の国のだ」
「伊東首相ですか」
「彼女は賄賂が得意だ」
 それを贈ることがというのだ、相手に。
「それを贈って相手を取り込むことがな」
「あの方は得意ですね」
「君も傍で見ていたな」
「日本にいた時は」
 日本で国家議員そして閣僚であった時にだ、八条は伊東の側近かつ弟子として彼女に政治を教えられていた。
 それ故にだ、ここでこうも言えた。
「政治を教えて頂きましたが」
「謀略についてはか」
「すぐに言われました」
「君は謀略を使うには向いていないとか」
「はっきりとでした」
「私の思った通りだな」
「はい、同じことをです」
 まさにというのだ。
「言われてです」
「それでだな」
「そちらは教わっていませんし」
「これからもだな」
「どうも私はです」
 謀略は使わずにというのだ。
「いこうと思います」
「そうだな、君は謀略を使うには向いていない、だが」
「だがとは」
「それには強いな」
「仕掛けられてもですか」
「賄賂が通じずスキャンダルもない」
 この二つがまずあるというのだ。
「そしてガードも固い」
「これは普通にです」
「君の家の方でか」
「用意してくれています」
 ボディーガード達はというのだ、八条は閣僚であるだけでなく八条グループの次期総帥でもあるのでこうしたことも十二分に配慮されているのだ。
「それでなのです」
「身辺もだな」
「守ってくれています」
「これはいいことだ」
「私にとってもですね」
「ガードがいることはな」
「若しいないと」
 その場合はとだ、八条はこの人物の名前を出した。
「原敬ですか」
「君の国の政治家だな」
「二十世紀初期の総理大臣でしたが」
「彼は暗殺されていたな」
「はい、警護の者がおらず」
「立場があるとだ」
「どうしてもですね」
「命を狙われることも考えられる」
 所謂テロリズムの標的になることもあるというのだ。
「どうしてもな」
「テロリストは何故テロを起こすのか」
「様々な理由だ、だが狂気に陥っている者もいてだ」
「そうした人物にとって暗殺は、ですね」
「大義となる、そしてそのテロはだ」
「常に考慮していくべきですね」
「さもないとだ」
 それこそというのだ。
「自分自身が災厄を被る」
「自身の政治的な心情等に反するからテロを起こすのですね」
「そうした連中はどうしても存在する」
 何時どうした国でもだ、民主主義であり言論や表現の自由が保障されていてもテロリズムに走る輩は存在してしまうのだ。 
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