| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十部第三章 作戦発動その十

「それもだ」
「無駄ですね」
「確かに食事中も音楽はあるべきですが」
「それでもですね」
「軍楽隊を置き演奏するなぞ」
「無駄の極みですね」
「軍楽隊も他の時に使うべきだ」
 これがリバーグの持論だ。
「艦隊司令が乗艦しているといってもな」
「軍楽隊も乗せて食事の時に演奏させる」
「それは無駄ですね」
「他の場合に使うべきですね」
「軍楽隊も」
「そう思う」
 リバーグとしてはというのだ。
「食事中は放送の音楽でいい」
「そして食堂で、ですね」
「全ての将兵が聴く」
「そうあるべきですね」
「これならどの艦艇でも音楽が聴ける」
 連合的な平等主義の考えも出す。
「いいと思うがな」
「はい、確かに」
「それならですね」
「コストもかかりません」
 軍楽隊の演奏一つも予算がかかるのが軍隊だ、楽器を演奏することについてもそのことを考えなくてはならないのだ。これはオーケストラも同じだ。
「司令が乗艦していようがしていなかろうが音楽を楽しめます」
「公平でもありますが」
「元々エウロパは公平な社会でもありませんし」
「だからですね」
「そうしたこともだ」
 実際にというのだ。
「普通ということだな」
「そしてエウロパの様な無駄な予算の使い方はせず」
「抑えるべきところは抑える」
「そうしていきますか」
「そうしよう、そして今日の昼のデザートだが」
 ここでリバーグは話題を変えた、食後の楽しみのことに。
「何だったか」
「はい、苺のケーキです」
「それと紅茶かコーヒーです」
「それになります」
「そうか、苺のケーキか」
 そう聞いてだ、リバーグは笑みになり秘書達にこう言ったのだった。
「実は末の娘の好物なのだ」
「お嬢さんのですか」
「そうだったのですか」
「随分甘えん坊で泣き虫の娘だが」
 父親の顔での言葉だ。
「もう高校生になった、だが今も好きな食べものはだ」
「ケーキですね」
「それも苺のものがお好きですね」
「そうなのですね」
「ケーキは全体的に好きだが」
 そこは女の子的にというのだ。
「中でも苺のケーキが好きでな」
「そのことを思い出された」
「そうなのですね」
「そうなのだ、そして娘が食べているのを見てな」
 笑顔のまま話していく。
「私も好きになった」
「司令もですか」
「そうなのですか」
「そうなった、それまでも苺のケーキも嫌いではなかったが」
 しかしというのだ。
「好きになった」
「お嬢さんのお陰で」
「そうなったのですね」
「娘の顔を思い出してな」
 食べるその度にというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧