| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十部第三章 作戦発動その十一

「泣き止んでいても苺のケーキを食べるとすぐに泣き止んで笑顔になっていた」
「ははは、それはありますね」
「泣いていたのに好物で泣き止むということは」
「子供にはよくありますね」
「それもよく」
「上の子達もそうだったが」
 しかしというのだ。
「その娘は一番そうだ」
「ケーキで泣き止む」
「そうしたお嬢さんですか」
「それでケーキ好きが高じてな」
 そしてというのだ。
「今はケーキ屋でアルバイトもしている」
「そうなのですか」
「高校生になられて」
「そうされているのですね」
「そうなのだ、楽しいと言っている」
 そのケーキ屋のアルバイトがというのだ。
「あの娘も楽しんでいるのなら」
「閣下としてもですね」
「いいのですね」
「そう思う、ではそのケーキを食べながらだ」
 娘の好物でもあるそれをというのだ。
「英気を養おう」
「はい、是非」
「そうしましょう」
「司令の娘さんのことを思いながら」
「そのうえで」
「困った娘だ、だが困った娘だからこそ」
 それだけにというのだ。
「可愛いな」
「ですか、そうした娘さんだからこそ」
「余計にですか」
「情を感じる」
「そうなのですね」
「そうだな、出来が悪いという程ではないが」
 しかしというのだ。
「そうした困った娘だからこそな」
「余計にですね」
「可愛く感じる」
「そうしたものですね」
「そう思う、そうした娘を授かってわかった」
 その末娘のというのだ。
「よくな、ではな」
「ではその苺のケーキを食べましょう」
「デザートに」
「是非」
 秘書達も笑顔で応える、そしてだった。
 彼はデスクワークを終えてそうして昼食に向かった、食堂では放送のそれを聴き若い兵士達と共に楽しんだ。
 苺のケーキは海賊達も食べていた、外縁部の海賊の一つレッドペッパーのアジトのその中においてであった。
 若い海賊達はその苺のケーキを食べていた、そうして。
 そのうえでだ、こうしたことを話していた。
「このケーキ美味いな」
「ああ、そうだな」
「闇商人から買ったケーキだがな」
「美味いな」
「そいじょそこいらのケーキじゃないな」
「そうだな」
 こう話すのだった。
「やっぱり本土のケーキはいいな」
「外縁部にもあるけれどな」
 それぞれのコミュニティの店や工場で作っているのだ。そうした自給自足で自分達の産業も存在しているのだ。
「この辺りのケーキまずいからな」
「何か味が違うな」
「同じケーキでもな」
「本土のケーキの方が美味いな」
「全くだ」
 こう話しながら食べていく、そして。
 彼等はお茶やコーヒーも飲む、そうしたものもだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧