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星河の覇皇

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第七十部第二章 同士討ちその四十

「本当にな」
「今日はもうこれで帰りますが」
「これからどうなるかですね」
「それがわからないですね」
「どうにも」
 乗組員達は苦い顔で語り合いつつ彼等の本拠地に入った、そして本拠地の中でもあれこれと話すが周囲には気付いていなかった。 
 超小型の、ゴミと判別がつかない連合が入り込ませた盗聴器兼隠しモニターが彼等の傍にあることに。それでだった。
 彼等の状況は連合側に筒抜けだった、連合軍はその情報を聞いて彼等への対策を考えていた。謀略を仕掛けながら。
 それでだ、バールは遠く地球にある統合作戦本部長室でその話を聞いてだった。そのうえでこう言ったのだった。
「相手が全く気付いていないとな」
「はい、容易にですね」
「策略も仕掛けられますね」
「面白い具合に」
「それが出来ていますね」
 幕僚達も彼に応えて話をする。
「どの組織も弱まってきています」
「なら、ですね」
「予定時間までに」
「どの勢力も弱められますね」
「それも徹底的に」
「いいことだ、このまま弱めていこう」
 予定時間までにとだ、バールも言う。
「そして予定時間になればな」
「その時は、ですね」
「まずは義勇軍が動き」
「正規軍も続き」
「一斉攻撃ですね」
「軍を然るべき配置につけたうえでな」
 予定通りにである、このことも。
「作戦開始だ」
「かなり事前準備をしていますが」
「手間をかけて」
「しかしその手間がですね」
「いいですね」
「そうだ、手間はかけるものだ」
 軍事作戦においてもとだ、バールは冷静な口調で言った。見れば連合軍元帥の冬服を端整に着ている。そしてそれが実に似合っている。
「じっくりとな」
「その通りですね」
「だからこそですね」
「作戦での損害も少なくなる」
「最低限で済みますね」
「そうだ、長官も承認して下さった」
 それでというのだ。
「だから正式に動いているが」
「その動きがですね」
「かなりの効果を生み出していますね」
「犯罪組織は弱まり」
「コミュニティは次から次に連合に加わっていますね」
「いいことだ、加わっていないコミュニティもだ」
 今の時点で連合にだ。
「我々が海賊やテロリストを制圧するとだ」
「彼等の害となるですね」
「そういった組織を排除しますと」
「連合に加わってくれますね」
「そうしたコミュニティが増えますね」
「我々は彼等の権利を害するつもりはない」
 それも一切だ。
「政府として存在したければ認める」
「それぞれの国の自治政府としても」
「それか連合所属の国家としてですね」
「存在を認めていますし」
「生存権もですね」
「連合の存在を知らないコミュニティもあるが」
 外縁部のコミュニティにも色々とある、中にはそうした組織もあるのだ。 
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