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星河の覇皇

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第七十部第二章 同士討ちその七

「それは生きる為です」
「そうですね、文明ならその文明の存続の為にです」
「戦いますね」
「国家にしても」
「それは同じですね」
「生物は生きる為に戦います」
 肉食動物が草食動物を襲う理由もそこにある、彼等は生きる為に狩りをしているのである。若し餌がいつもあればそういうことはしない。
「資源も豊富ならです」
「戦うことはありませんね」
「生物は満腹ならそれで満足します」
「幾ら貪欲でもです」
「大抵は限りがあります」
 人格障害者でもない限りだ、人の欲には限りがあるのだ。
「満腹ならです」
「資源も領土も充分にありますと」
「生物は戦いません」
「決して」
「その通りです、ですから宇宙でも文明同士が遭遇しても」
 それがそのままというのだ。
「衝突まで至るか」
「それはですね」
「この宇宙は広いです」
「資源にも満ちています」
「それならですね」
「衝突、戦争に至る可能性はです」
 この現実についてだ、八条は軍人達に話した。
「実際のところです」
「かなり低いですね」
「現実としては」
「そうですね」
「そう考えています」
 八条、彼はというのだ。
「私個人は、ですが」
「戦えば命の危険は常にありますし」
「そのリスクがあるならですね」
「無闇に戦争を選ばない」
「そうでもありますね」
「あらゆる生物は本能的に命を守ろうとします」 
 これはどの生物でもそうだ、生存本能というものだ。
「それが為にです」
「その生物が構成する文明もですね」
「戦争は避けますね」
「豊かならば」
「そうした選択を行いますね」
「惑星の中では資源は限られていますが」
 人類が地球という小さな惑星にあった頃だ、この惑星の中で人類は実に数多くの戦いを繰り返してきた。お互いが生きる為に。
「しかし宇宙はどうか」
「まさに無限ですね」
「惑星も多いですし」
「隕石にも多くの資源があります」
「宇宙でどれだけあるかわかりません」
 それが宇宙だというのだ、無限の可能性がある。
「そうした世界なので」
「技術もですね」
「宇宙に進出するとなると相当です」
「技術は豊かさにも直結しますし」
「それならば」
「そうそうむやみな衝突はです」
 それこそというのだ。
「起こるものではないです」
「その通りですね」
「実際のところは」
「争いは起きない」
「宇宙では」
「そう思います」
 こう軍人達に話す。
「実際に連合も衝突は多いですが」
「はい、政治的な」
「そして様々な事情で」
「しかし武力を伴うものであるかといいますと」
「そうなったことはありませんね」
「エウロパがサハラに攻め込んだ理由もです」
 そのこともだ、八条は理解していた。連合ではよくエウロパ人とりわけ貴族達の侵略欲や好戦性の証として言われるがだ。 
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