| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十部第二章 同士討ちその五

「ですから」
「その仕込みを全て終えてですね」
「予定時間までに」
「予定時間までかなり時間がありますが」
「その時になりましたら」
「全艦隊がです」
 辺境部に集結させたその艦隊達をというのだ。
「動きます」
「そしてですね」
「全組織を攻撃、制圧しますね」
「弱体化しきった彼等を」
「そうしますね」
「予定通り」
 まさにとだ、八条はまた言った。
「そうなります」
「ですね、では」
「外縁部の状況は逐一見ていましょう」
「情報は常に収集しています」
 それで外縁部の状況もわかるというのだ。
「今多くの犯罪組織は動きが停滞しています」
「内部分裂、互の衝突、粛清が続き」
「彼等は動いていません」
 少なくとも犯罪等の行動を起こせなくなっているのだ。
「ですから」
「その間にです」
「我々は用意をしておきましょう」
「今から」
「その様に、そして外縁部の全てをです」
 不法出国者がいる宙域全てだ、この場合の外縁部とは。
「領有してです」
「新たな国境はですね」
「中央軍が守りますね」
「そうなりますね」
「これからは」
「はい、手に入る領域はかなり大きいですし」
 八条はこのことも話した。
「暫くの間はです」
「開拓は、ですね」
「外に向かうそれはですね」
「行われない」
「そうなりますね」
「百年位はでしょうか」
 一世紀、この時代の人が生まれ生きて死ぬそれだけの時間はというのだ。
「国境の拡大を伴う開拓はないでしょう」
「それは、ですね」
「行われずですね」
「連合の中での開拓、開発ですね」
「そちらになりますね」
「そうなると思います」
 こう己の考えを述べた。
「再び内政の時代ですね」
「連合の中の開発、開拓ですね」
「それを行う時ですね」
「この作戦の後は」
「連合は拡大と内政を繰り返してきました」
 開拓地を手に入れていってだ、千年の間それを繰り返してきたのだ。八条は連合のこの歴史についてこうも言った。
「幸い他の知的生命体にも遭遇していません」
「宇宙進出当初から想定されていましたが」
「しかしでしたね」
「それはありませんね」
「今の時点では」
「若し強大なかつ敵対的な知的生命体の文明と遭遇していれば」
 その時はどうなっていたか、連合の未来小説ではその事態を想定した架空戦記が昔から実に多く発表されている。
「ここまで順調には至っていなかったでしょう」
「あるとは思っていましたが」
「千年の間です」
「それはありませんでしたね」
「これまでのところ」
「連合にとっては幸いなことに」
 実にという言葉だった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧