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星河の覇皇

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第七十部第二章 同士討ちその二

「その無法者達もどうにかなって欲しいし」
「海賊とかテロリストもな」
「早く消えて欲しいな」
「全くだ」
「それで俺もな」
 その元結婚詐欺師も言う。
「もうな」
「時効か?」
「それになったか?」
「いや、まだだ」
 共にいる仲間達に言う。その彼等にしても実は罪を犯したり借金で首が回らなくなり連合を出た者達である。
「けれどそれでもな」
「ここで無法な状況にいるよりましか」
「まだか」
「まだましか」
「ずっと」
「ああ、何かな」
 どうにもという言葉だった。
「もう沢山だよ」
「刑務所にいるより悪いか」
「借金取りに追われるよりも」
「ここはもっと酷い」
「そう言うんだな」
「もう八年になるけれどな」
 結婚詐欺師が外縁部に出てというのだ、罪を逃れて。
「いつも星の中のならず者や宇宙海賊に追われて」
「カルト教団やテロリストも来て」
「厄介だからか」
「ああ、刑務所に入っている方がな」 
 そちらの方がというのだ。
「ましだな」
「結婚詐欺師はまだ人殺してないしな」
「相手が自殺してない限り大丈夫だな」
「そうだな」
「俺はそこまでしてないからな」
 騙した相手が自殺する様なことまではというのだ。
「そこまで悪党じゃないさ」
「じゃあ精々懲役五年か」
「それ位で出られるな」
「そうだな」
 詐欺師本人も言う。
「それ位だな」
「刑務所の中はまだ安全だからな」
「凶悪犯は即刻死刑の国だけれどな、連合」
「そうした状況だとな」
「まだましだな」
「懲役五年」
「情状酌量の余地もつくな」
「ここがこんな場所なんてな」
 詐欺師はメチレンが入っているかも知れない密造酒を飲みつつ言った、外縁部ではよく売られている酒である。
「知っていたらな」
「俺もだ」
「俺もだよ」 
 他の面々も言う。
「俺は業務上横領だけれどな」
「俺は児童買春だ」
「俺は借金だ」
 それぞれの事情も言う。
「それでもここまでだとな」
「こんなに無法だとな」
「いるだけやばいからな」
「罪を逃れられてもここは大変だ」
「無法地帯だ」
 中には暴力で支配する独裁的なコミュニティも存在している、こうした状況も連合では世紀末的状況と言われる。
「こんな場所にいてもな」
「いいことはないぜ」
「トミーは娘を海賊に持って行かれたしな」
「ジラフもな」
「ミヒャエルは女房だ」
「全員何処に行ったやら」
「どっかの金持ちの慰みものか」
「海賊の妾かだからな」
 人身売買も行われている結果だ。 
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