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星河の覇皇

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第七十部第二章 同士討ちその一

                 同士討ち
 外縁部が物騒になっていた、その状況は連合の辺境にも伝わっていた。 
 市民達は海賊やテロリスト達の間で内部分裂や衝突、粛清、そして各組織同士の抗争が激しくなっているのを聞いてこう言っていた。
「いいことだよ」
「全くだ、海賊もテロリストも殺し合え」
「それでいなくなれ」
「精々な」
「力弱まって消えてしまえ」
「そうしたら平和になるんだ」
 時々彼等が来る辺境もというのだ。
「海賊もテロリストもいなくていいんだよ」
「ヤクザと一緒だ」
「もっとどんどん争え」
「内ゲバでも何でもしやがれ」
 酒場でも仕事の合間でもネットでも家庭でもこう話していた、彼等にとってそうしたことが続いていることは朗報だった。
 それは外縁部でも同じでだ、連合の外に大小様々なコミュニティを組んでいる連合が言う不法移民達もだった。 
 彼等を害する海賊やテロリスト、カルト教団といった者達が騒いでいるのを見てだ、そのうえで彼等も話していた。
「連中が潰し合うとな」
「俺達にとってはいいな」
「いつも何かあると俺達のところに来てな」
「奪うもの奪って」
「人も攫ってな」 
 そして奴隷の様に扱うのだ、連合の外はまさに無法地帯であり人身売買やそうしたことも行われているのだ。
「無茶苦茶しやがって」
「強引な勧誘とかな」
 カルト教団が行うことだ、信仰しなければ殺すと言い実際にそうしている。
「手前勝手なテロの標的にしてくれて」
「連合に行くにしてもガードが固いからな」
 連合辺境部も狙われているにしてもだ、こちらはある程度以上のガードが備わっていて各国軍もいるので中々攻められないのが実情だ。
 それでだ、それぞれのコミュニティで守るしかない小規模な集まりでしかない彼等が狙われているのである。
「こっちにばかり来る」
「連合を出ても辛いな」
「こっちじゃ自由だって思ったらな」
「無法地帯だ」
「無法と自由は違うな」
「全くだ」
 連合を出たことを後悔する言葉も出ていた。中にはこうしたことを言った者もいた。
「俺は結婚詐欺師だったんだよ」
「それでこっちに逃げたんだな」
「ああ」
 連合の外にというのだ。
「そうしたんだけれどな」
「それでもか」
「ここは辛いな」
 外縁部はというのだ。
「確かに罪には問われないがな」
「生活のレベルなんてな」
「殆ど自給自足だからな」
 彼等のコミュニティの中でのだ、コミュニティごとにその文明のレベルも違っていてそれぞれ孤立していることも多い。
「俺達な」
「中には原始時代みたいな暮らしもしてるな」
「そうした状況だからな」
「辛いよな、結構」
「連合と比べると全然違うぜ」
「同じ星の中で争いとかもあるしな」
 そうしたこともあるのだ、外縁部でだ。
「コミュニティの中には法律があってもな」
「連合みたいに全体に、じゃないからな」
「お互いに争っててな」
「辛いな」
「それで海賊やカルト教団やテロリストに襲われていて」
「大変だぜ」
 星によってはどのコミュニティの力も弱く無法者達が暴れ回っている星までありる、連合ではそうした状況を世紀末的状況と表現している。 
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