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星河の覇皇

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第七十部第一章 外縁部の賊その四十五

「ですが」
「それでも使いやすいんだな」
「そうなんですよ」
「そういえばそうだな」
 曹長はその銀河語で考えつつ言った。
「何かな」
「使いやすいですね」
「こうして頭の中で使っていてもな」
 そしてそれで喋っていてもだ。
「使いやすいな」
「実際にそうなんですよ」
「それがわかるな」
「じゃあ旦那も」
「俺もか」
「銀河語で考える様になっていますし」
「そのことからもか」
「連合で住むことを考えられては」 
 こう言うのだった。
「どうでしょうか」
「そうだな、それじゃあな」
「そういうことで、それと」
「それとか」
「はい、もう一本どうですか?」
 曹長が普通のワインよりも倍以上アルコール濃度の強いそれを一本飲み干したところでこう提案したのだった。
「ワインを」
「いや、もういい」
「いいですか」
「充分飲んだよ」
 顔を真っ赤にさせての言葉だ。
「だからな」
「それで、ですか」
「ああ、これでいいよ」
 満足しているという返事だった。
「これでな」
「そうですか、じゃあ」
「最後に甘いものが欲しくなった」
 見ればナッツも全部食べている、だがワインを飲んでいるとどうしても甘いものも欲しくなるからだというのだ。
「だから何かあるか」
「アイスクリームどうですか?」
 甘いものと聞いてだ、親父はこれを出した。
「それなら」
「アイスか」
「はい、どうですか?」
「それじゃあな」
 アイスと聞いてだ、彼はまた言った。
「そっちを貰うか」
「そうですか」
「最後はな」
「わかりました、それじゃあ」
「アイス頼むな、バニラとメロンな」
 その二つだというのだ。
「二段いいか」
「いいですよ、じゃあ」
「今からな」
「アイス出します」
 親父も応えた。
「今から」
「じゃあそれで最後にするな」
「また来て下さいね」
「またここに、生きて来たらな」
「待ってますね」
 生きて帰ってくることは確実としてだ、親父は曹長にアイスを差し出した。そして曹長は連合のアイスの美味さにも笑顔になったうえで店を後にし空母に戻った。 
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