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魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

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Epica34魔女の誇りに懸けて~Fabia Kroserg~

†††Sideはやて†††

フォルセティ達を見送ってから数分。遠くから「おーい!」ってゆう声が聞こえてきた。私たちのところに来たんは「なのはちゃん、フェイトちゃん、アリシアちゃん!」の3人やった。息を切らしてるなのはちゃんが「あー、間に合わなかったか~」って肩を落とした。

「なのはさん、フェイトさん、アリシアさん、どうもっす」

「あ、うん、ノーヴェ。こんにちは~」

「ごめんね、私がゆっくりしていたから・・・」

なのはちゃん達は、フォルセティ達を見送りと出迎えのために来たんやけど、アリシアちゃんが謝るように間に合わへんかった。3人がここに来ることは、ヴィヴィオには内緒やったからな。私もアインスもノーヴェも、あの子らを引き止めることは出来ひんかったんよ。

「見送りだ出来なかったけど、出迎えはみんなでしようよ」

フェイトちゃんの言葉にみんなで頷き返して、ヴィヴィオ達が来るのを待つ。そんな中、「ねえ、なんか変な気配しない?」ってアリシアちゃんが言うた。

「そう? 私は特に何も・・・」

「私も、フェイトちゃんと同じく。はやてちゃん達はどう?」

「あたしも特には・・・」

「うーん・・・っと」

フォルセティ達が入って行った書庫の巨大扉へと意識を集中する。アインスが「確かに、何か不穏な空気を感じる」って、アリシアちゃんに同意した。私も「断言は出来ひんけど、私もちょうな・・・」って小さく頷いた。

「本当?」

「はやてやアインスまでそう言うんだから、中で何か起きてるのかもしれない」

「こら、フェイト。お姉ちゃんの言う事よりはやて達のことを信じるとは何事だ~!」

餌を頬張ったリスみたく頬をぷくーっと膨らませたアリシアちゃんが、フェイトちゃんのお尻を叩いた。フェイトちゃんは「きゃん!?」って可愛らしい悲鳴を上げて、両手でお尻を隠しつつ「急に叩くなんてひどい!」と文句。

「お姉ちゃんを蔑ろにした罰であ~る! っとと、そんなこと言ってる場合じゃないや。ちょっと見に行った方がいいんじゃない? いくらチャンピオンとか、上位ファイターとかが一緒だとしても中は無重力。慣れてない所為でまともに戦えないかもしれないしさ」

「そうは言うても何かがあれば連絡するって話やしな~」

「何かあったとしても大隊ではないはずだが・・・」

無限書庫内部では転移魔法も転移スキルもすべてが無力化される仕様や。そやからこれまでのような奇襲とか拉致とかの心配はあらへん。それにユーノ君ら司書のみんなが、すでにこの書庫の調査を行ってくれてるからトラップも無いはず。

「考えられるとすれば・・・ファビア・クロゼルグって子の仕業かも知れへん」

「「ファビア・クロゼルグ?」」

なのはちゃんとフェイトちゃんが首を傾げる。そっか、2人はシャルちゃんから連絡を貰ってへんのか。私は、シャルちゃん伝手に聞いたベルカ諸王時代の因縁をなのはちゃん達にも話した。

「だとすれば、いつの間に、というかどうやって無限書庫まで入り込んだんだろう?」

「未整理区画だから入室許可も居るし、受付の目もあるし、それらを掻い潜るのってかなり至難だよね」

「クロゼルグは、魔法と魔術の境界にあたる魔女術なる体系の術を扱うらしい。魔術特有の神秘はほぼ無いそうだが、魔法とはまた別であることは間違いない」

戦闘特化って言われてるセインテスト家の魔術ですらその汎用性は高い。魔女術も似たようなものかもしれへん。不安そうななのはちゃんとフェイトちゃんに、アリシアちゃんが「なら早く見に行かないと!」って私たちを急かした。

「・・・あの、ヴィヴィオ達との連絡が取れません」

「「「え・・・?」」」

「なに?」

ノーヴェから聞かされたのはまさかの音信不通という状況に、「ほらほら、言ったじゃん! もう扉開けるよ!」ってアリシアちゃんは閉じられた扉に手を翳して、魔力による開扉を行った。開かれた扉の内部の様子に私とアインスとノーヴェは「え・・・!?」って目を丸くする。

「何やコレ・・・!」

「ヴィヴィオ達が入った時といろいろと変化してる・・・!」

ヴィヴィオ達を見送った時は、扉の長い廊下と両側の壁にずらりと並ぶ書棚って感じやったけど、廊下のど真ん中や天井、それに壁から複数の扉が生えてて、書棚もグニャリとひん曲がってる。

「書庫内の空間が歪んでいる。・・・侵入・脱出防止の本格的な結界ですね」

「うん。しかもミッド式でもベルカ式でもあらへんとなると・・・」

「魔女術・・・!」

「じゃあファビアって子が中に居ることは確定なんだね」

「で、どうするの・・・?」

アリシアちゃんが私たちにそう尋ねた。答えは決まってる。首に提げてる待機モードの“シュベルトクロイツ”を胸元から取り出して騎士服へと変身する。

「結界は無理やり突破する。中には私と・・・フェイトちゃんの2人で行く」

「私? うん、いいよ!」

「おおきに。アインスとなのはちゃんとアリシアちゃん、それにノーヴェはここで扉を閉めて待っててな」

扉を閉めるのは万が一にも大隊が攻めて来たとき、開扉に時間を掛けさせるためや。そしてアインス達を待機させる理由は迎撃戦力のため。フロントアタッカーのノーヴェとアインス、センターガードのなのはちゃん、フルバックのアリシアちゃんってゆうバランス陣形や。

「えー! 私も一緒に行きた~い! ねえフェイト~、代わって~」

「え、でも・・・」

「アリシアちゃん。ここはフェイトちゃんにお願いしたいんよ。そやから・・・」

「むぅ。どうしてでもダメ・・・?」

なんでか今日のアリシアちゃんはちょう我が侭な感じがする。それだけ子供たちのことを案じてくれるんやろうけど、「ごめんな。私とアリシアちゃんは後衛やからな」って伝える。

「じゃあはやてが私と交代しようよ! テスタロッサ姉妹なら阿吽の呼吸で・・・」

「もう! アリシアはここで留守番! はやて、行こう!」

「じゃあそうゆうわけやからアリシアちゃん。ごめんな!」

「もう!」

不満丸出しのアリシアちゃんを置いて私とフェイトちゃんは扉を潜って、閉まりゆく扉を背に「んじゃ、始めよっか!」結界の突破を試みる。

†††Sideはやて⇒ヴィヴィオ†††

「はふぅ。なんとか撃退できましたね」

わたし、イクス、アインハルトさん、ミウラさん、ジークさんの5人は、わたしやイクスの魔力を感知して具現化したゴーレムトラップに見事引っ掛かってしまい、交戦せざるを得なくなった。巨体の割に素早い攻撃だったけど、わたし達の敵じゃなかった。正確に言えばジークさんの・・・。

「まさか、このようなトラップがあったとは思いもしませんでした」

イクスがバラバラになったゴーレム召喚トラップ本を親指と人差し指で摘むように持った。ゴーレムはどれだけ攻撃しても再生しちゃう面倒くさい仕様だったけど、心臓付近に埋め込まれていた本を吹っ飛ばせば何とかなるかも?ってことで、アインハルトさんとミウラさんとジークさんの協力の元、ゴーレムの胸に大きな穴を開けてもらったところでのディバインバスター。

「(おかげでゴーレム2体を無傷で破壊できた)これからどうしましょう・・・? わたしとイクスの魔力に反応しちゃうなんて・・・」

「無闇矢鱈に検索魔法でも掛けてトラップを起動させるのも大変でしょうし・・・」

わたし達の目の前に広がるのはズタボロな書棚。出来るだけわたし達の攻撃での破壊は避けたけど、ゴーレムの攻撃はそれを無駄にするかのように手加減無用で繰り出すからもうメチャクチャ。でも幸いな事にエレミアの書があるらしい候補棚は無傷だった。

「ウチはそれでも構わへんよ? この程度の強さなら対処できるし。ハルにゃんとミウちゃんも、それでええか?」

「はい。私もそれで問題ありません」

「ぼ、ボクもです!」

「ん。そうゆうわけやから、ヴィヴィちゃんとイクスちゃんは引き続き検索魔法でエレミアの本を探して。ウチらがゴーレムみたいなトラップの撃破を請け負うから」

アインハルトさん達からの提案ということもあって、わたしとイクスは検索魔法によるエレミアの書の捜索を再開。候補だった書棚の捜索を一通り終えて、「ここじゃなかったですね」と肩を落とす。

「まあまあ、気を落とさんでもええやん。1発目で当たるなんて思てなかったし。ほら、行こう!」

「で、ですよね! そんな都合のいい事なんてないですよね!」

というわけで、次の候補地へ向かうべく廊下に出るんだけど、「あれ?」ってなった。ドアが床や天井からにょきっと生えてたり、備え付けられたりしてた。ミウラさんが「変わった書庫ですね?」って言うけど、明らかに異変が起きてる。

「ヴィヴィオ。これは異常事態です」

「うん。皆さん、ドアには注意してくださ・・・」

「え?」

ミウラさんが足元にあったドアノブに手を掛け、今まさに開けようとしていた。わたし達の視線にハッとしたミウラさんはドアノブから手を離して「す、すみません! つい!」って何度も謝ってくれた。その必死さにこっちが申し訳なくなっちゃう。ミウラさんがドアから離れようとしたとき、ドアノブが回っちゃった後なのかゆっくりとドアが開き始めた。その隙間から見えるのは、闇夜に光る動物の目のようなもの。

「「ミウラさん、離れて!」」

「っ!」

わたしはミウラさんの手を取って引っ張り込み、アインハルトさんとジークさんがわたし達を庇うように前に立ってくれた。開いたドアからは、三叉槍を携えて、背中にコウモリの羽を生やした、小さなぬいぐるみのような物がわらわらと出てきた。

「なんやコレ・・・!?」

ゲーッゲッゲーって鳴き声?のようなものを発しながら、槍持ち軍団が雪崩のようにわたし達に殺到して来た。揉みくちゃにされる中、「はああああああ!」ジークさんが槍持ち軍団を吹っ飛ばした。

「ミウラ・リナルディ、ジークリンデ・エレミア、アインハルト・ストラトス、そしてヴィヴィオ・タナマチ」

今日この無限書庫に集まったみんなの声と一致しない第三者の声に名前を呼ばれた(わたしの苗字だけ間違えられたけど)。その声は女の子のもので、たぶんこの声の主が、事前に聞いてたファビア・クロゼルグさん?だと思う。

『真名認識』

さらにもう1つ。それは機械音声のようなもので、たぶんデバイスだ。警戒するわたし達の前に、丸い体に三角耳、羽、先端が矢尻のようなものになってる尻尾を生やした、コウモリ人形が現れた。

『水晶体認識』

さらにそう発せられた直後、槍持ち達が一斉にわたし達を囲うように押し寄せてきた。イクス達とおしくらまんじゅう(なのはママの故郷の遊びだ)状態に。

――吸収(イタダキマス)――

そんなところに、小さかったコウモリっ子が一瞬にして巨大化して、大きな口を開けた。槍持ち達が壁となってる所為で回避できない。

「っ!? ヴィヴィオさんだけでも・・・! せぇーい!」

「きゃあ!?」

ミウラさんがわたしの手を掴むと、わたしはグイッと皆さんの頭上に引っ張り上げられた。そしてブンッと放り投げられる。無重力ということもあってあっさりと数m以上飛ばされた。直後にコウモリはミウラさんやイクス達をパクッと飲み込んで、もぐもぐと咀嚼していた。

「ミウラさん、イクス、アインハルトさん、ジークさん!」

そしてペッと何かを吐き出したんだけど、それは「服・・・!?」で、しかもイクス達の着ていたもの。

「オリヴィエの末裔は・・・逃がした?」

小さくなったコウモリの側に歩み寄るのは、トンガリ帽子に箒にマントっていう物語でよく見る「魔女・・・」の格好をした女の子。側には球体の頭と三角錐の体、細い手足の人形や、さらなる槍持ちを侍らせてる。この子が「ファビア・クロゼルグ・・・さん?」だろうけど、返答は無い。

「・・・いいよ。1人じゃ何も出来ないと思うし」

コウモリの口から吐き出されたのは4つの小瓶。中身は小瓶サイズに合わせて体が小さくなってる「イクス、アインハルトさん、ジークさん、ミウラさん!」の4人。さっき吐き出された服はやっぱり皆さんのものだったようで素っ裸状態で、4人とも気を失ってるのか小瓶の底に横たわってる。でもすぐにジークさんだけがむくりと上半身を起こして、防護服へと変身。さらに鉄腕を発動。

――殲撃(ガイスト・ナーゲル)――

放たれる破壊の一撃は小瓶を壊して、ジークさんの体が元の体に戻り始める。そんな中、槍持ち達がジークさんに向かって、球体形の本体に導火線っていう古典的な爆弾を放り投げようとした。

「させない!」

――ジェットステップ――

書棚を足場として利用して、ジークさんの元へと一足飛び。そして「せいや!」槍持ち達を蹴っ飛ばす。体が元の大きさへと戻りつつあるジークさんも、殴ったり蹴ったり放り投げたりで対処。

「おおきに、ヴィヴィちゃん!」

「はい!」

ジークさんはさらに「ゲヴェイア・クーゲル!」魔力弾で槍持ち達を迎撃するんだけど、次々と槍持ち達が現れ続けて、爆弾を放り投げてくる。

失せよ光明(ブラックカーテン)

「「っ!?」」

視界が暗転する。そのあまりに突然な視界潰しにすぐに対処できないわたしは、まずい、と焦った。でも「ジークさん!?」がわたしをぎゅっと抱きしめたのが暗闇の中でも判った。

「いろんな人たちから、ヴィヴィちゃんのことを任されたからな~」

顔は見えなくてもジークさんは笑顔を浮かべてるような気がした。直後に派手な爆発音と衝撃、爆風がわたし達を襲った。ジークさんが庇ってくれたおかげで、それだけで済んだんだと思う。わたしの背中に回されてた腕が離れて「フッ・・・!」ジークさんの息遣いが聞こえた。

「視界が・・・!」

元に戻って、爆発による黒煙もジークさんが払ってくれていて、「派手な割にあんまりダメージあらへんな」って苦笑い。よかった。ホッとするもすぐにわたしはファビアさんと視線を交える。

「何を目的として、こんなことをするんですか・・・!?」

「エレミアの手記。私は大して興味ないけど、あなた達が手に入れるというのなら奪い取ってやる」

静かな声色の中に含まれる怒りの感情に、わたしは「どうして・・・?」からの二の句が告げなかった。

「オリヴィエとエレミア、それにイングヴァルト。あの3人への復讐は、クロゼルグの血脈に課せられた使命」

「「復讐・・・!?」」

シャルさんのお話だとファビアさんは、アインハルトさんと同じようにご先祖様の記憶を受け継いでるみたい。そして今の話からして、オリヴィエ達のお友達だったカイラ・クロゼルグの記憶承継者だ。

「待ってください! 復讐ってどういうことですか! クラウス殿下たちと、カイラさんは友達だったんですよね! それに魔女の森が焼かれたのは、クラウス殿下たちの非じゃなかったはずです!」

「うん! クラウス殿下の記憶見たけど、魔女の森を焼いたんは別の国や! 確かに、原因はリッド達にあったかもしれへん! そやけど・・・!」

「魔女の森の件は判ってる・・・。ゆりかご起動の反対派によるもの・・・ん? 見た? どういうこと?」

「え? えっと・・・」

「それは・・・」

わたしとジークさんは顔を見合わせた後、クラウス殿下の記憶を見たっていう話について説明。ルシルさんの魔法の中には、対象の記憶映像を複数人に見せるものがあって、当時のクラウス殿下の記憶を見たと伝えた。

(あ、これって勝手に教えてもいいのかな・・・? あぅ、ごめんなさいルシルさん)

「そう・・・記憶を映像で見られる特別な魔法・・・か。オーディンの末裔、フォルセティ・ヤカミを逃がしたのは痛かった」

「フォルセティを、逃がした・・・?」

「セティ君に何したんや・・・!?」

「答えて!」

ファビアさんは煩わしいって感じたのかしかめっ面になって、「末裔たちや、この邪魔者たちと同じようにしようとしただけ」複数の小瓶を首から提げた槍持ちを指差した。

「リオ、ルールー!?」

「ミカヤさん、エルスさん!?」

イクス達と同じ、素っ裸で瓶詰めされてる4人の姿を確認できた。そしてやっぱり気を失ってるみたい。今すぐに取り返したいけど本当に・・・敵対して戦って勝って・・・でいいのかな。ファビアさんは誤解してる。それを解くための説得が一番じゃないのかな・・・。

「ちょうオイタが過ぎるんちゃう?」

ジークさんの雰囲気がピリピリしたものになる。気持ちは解かるけど、ここで本当に戦うのが正しいのかっていう迷いがわたしにある。フォルセティやコロナ達のことも気になるけど・・・。でも今はきっと・・・。

「ファビアさん。ちゃんとお話をしませんか?」

「ヴィヴィちゃん?」

「ジークさん。ここは抑えましょう」

「話すことなんてない。カイラ(わたし)を見捨てた、あの王たちを許さない・・・!」

槍っ子たちが一斉に三叉槍の先端を向けてきた。ジークさんがわたしを庇うように前に躍り出てくれた。わたしは「ファビアさん!」と呼びかけを続ける。

「うるさい。オリヴィエ達はカイラ(わたし)を見捨てて、今度は末裔が私の邪魔をする・・・! 魔女の誇りを傷付けた者は、未来永劫呪われよ・・・!」

敵意に満ちた瞳がわたし達を貫く。

「オリヴィエ達は、カイラさんを見捨てたわけじゃないです!」

「魔女の森が焼かれた後、クロゼルグのみんなは新たな住処を探す為にシュトゥラから離れた。カイラ(わたし)はそれでも森に残った。それなのにあの日以来、オリヴィエ達は逢いに来てくれなくなった。待っていたのに。ずっと・・・!」

「それは・・・」

オリヴィエが“聖王のゆりかご”に搭乗することを決めたことが理由だ。当時のカイラさんはそれを知らなかったのかな・・・。

「あなた達がクラウスの記憶で何を見たのかは知らないし、聞く気もない。だけどカイラ(わたし)を見捨てたのは事実! それだけで十分!」

ファビアさんはわたし達から距離を取り・・・

悪魔合身(デビルユナイト)

そうポツリと漏らした。すると槍持ち1体と、丸顔人形1体がファビアさんの胸の中に吸い込まれていって、また巨大化したコウモリの子にパクッと食べられちゃった。

――姿態編成(シェイプシフト)――

コウモリの子の中から光が溢れて出て、パリィーン!と細々と割れていく。中から姿を見せたのは大人の姿へと変身したファビアさんだった。どう見ても完全な臨戦体勢。うぅ、出来れば言葉で、お話で解決したかったんだけど・・・。

「ジークさん・・・」

「ウチは、ヴィヴィちゃんが間違ってたとは思うてへんよ。ただ、あの子がオイタがちょう過ぎる聞かん坊なイタズラっ子ってだけや。ちょこっとばかりお仕置きした上で話を聞いてもらおうか・・・!」

わたしとジークさんは、ファビアさんを止めるために身構えた。 
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