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星河の覇皇

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第七十部第一章 外縁部の賊その四十二

「占領地とかでな」
「あと最初から守りのない星は」
「問答無用でしてな」
「あと海賊も来ますね」
「誰からも狙われる」 
 それこそという言葉だった。
「そんな星系こそな」
「それが現実ですか」
「サハラのな」
「正直こっちの方がずっといいですね」
 親父はここまで聞いて言った。
「辺境で治安がよくなくても」
「サハラにいるよりそうだろ」
「そう思いましたよ、実際」
「俺もそう思う時があるよ」
 曹長は少し苦笑いになって親父に言った。
「やっぱりな」
「連合の方がいいですね」
「どうもな、サハラは貧乏だしな」
「そのことも大きいですね」
「大きい大きい」
 言いながらグラスに自分でボトルを持ったうえでワインを注ぎ込む、赤というよりも紫に近い色で如何にも強そうだ。
「もうここと比べるとな」
「サハラはですか」
「どれだけ貧乏なんだかな」
 それこそという言葉だった。
「わからない位だ」
「そこまでですか」
「ずっとそんな調子だったんだ」
 戦乱が続き戦禍があちこちで起こっていてというのだ。
「千年な」
「だからですか」
「もうこんなのじゃないさ」
 連合の辺境、彼が今いるこの場所と比べてもというのだ。
「何十倍も貧しいんだよ」
「何十倍もですか」
「ああ、何十倍もな」
「国民所得で十倍って聞きましたけれど」
「それはハサンも入れてだろ」
 サハラの最先進地域だった国だ、勿論国民所得も他の国に比べて相当に高く国全体が連合には及ばまいまでも豊かだった。
「それこそな」
「ハサン以外の国はですか」
「もうこの辺りと比べても何十分の一」
「そんなものですか」
「相当に貧しかったさ」
「想像出来ないですね」
「こんな酒にだ」
 曹長は肴のナッツ類も見た、胡桃やカシューナッツ、ピーナッツといったものが皿の上に盛られて置かれている。
「ナッツだってな」
「ナッツは何処にでもありますね」
「いやいや、質が違うんだよ」
 ナッツのそれがというのだ。
「もうな」
「そうなんですね」
「こっちの方が美味い」
 断然にという言葉だった。
「全然違う」
「そうですか」
「本当にな、やっぱりな」
「やっぱり?」
「俺の話だけれどな」
 親父にこう前置きして話した。
「こっちで暮らすか」
「連合で」
「サハラが平和になってもな」
「連合市民になりますか」
「こっちは何でもある」
 連合にはというのだ。 
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