星河の覇皇
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第七十部第一章 外縁部の賊その三十八
「この前の戦争も」
「エウロパのか」
「あの時も義勇軍を前に出してでしたからね」
エウロパ戦役でもだ、正規軍の前に義勇軍を出して彼等を先陣にして戦っていたのが彼等だったのだ。
「弱いですよ、正規軍は」
「だからか」
「はい、そうですよ」
まさにというのだ。
「義勇軍の人達が頑張ってくれないと」
「正規軍はあんた達の軍隊だろう?頼りになるだろ」
「災害救助では頼りになりますよ」
そちらでは、というのだ。
「確かに」
「それも大きいと思うがね、俺は」
「それはそれです」
災害救助は災害救助だというのだ。
「戦争は戦争です」
「正規軍はそっちか」
「まあ確かに災害には強いですが」
実は連合軍の訓練は戦闘訓練よりもそちらに比重が大きいと言われている、それに際する教育もよく受けている。
「連合も災害が覆いですからね」
「宇宙空間でも星でもな」
「はい、実に」
災害のない世界はない、連合は広いだけにその災害の数も多いのだ。
「だからそっちの訓練はしていて」
「ノウハウもあってか」
「よく動けますけれど」
「戦争はか」
「経験がなくて」
そしてそこから培われるノウハウもというのだ。
「ですから」
「勝てないか」
「そうなんですよ」
実にというのだ。
「正規軍だけでは」
「低評価だな、本当に」
「いやいや、連合の人間ならです」
「誰でもって口調だな」
「はい、思ってますよ」
「正規軍は弱いか」
「訓練もあまりしてなくて」
練度の低さも有名である。
「何かと」
「そうか」
「はい、ですから」
「弱いか」
「だから義勇軍には頑張ってもらわないと」
それこそというのだった、曹長にも。
「お願いしますね」
「それなら」
「はい、是非」
「頼りにされててたらな」
例えだ、偏見を受けることはあってもというのだ。
「やりたくなるな」
「そうしてもらえると嬉しいです」
「そうか、しかし正規軍もいるけれどな」
「ですから災害には強いですが」
「戦闘にはか」
「頼りにならないので」
それでというのだ。
「私達が戦いますから」
「随分なもの言いだな」
「それだけわかってるんです」
正規軍、彼等のことがというのだ。
「連合市民として」
「正規軍嫌いかい?」
「嫌いではないです」
親父はそれは否定した、陽気に笑いながら。
「むしろ好きですよ」
「そうなんだな」
「規律正しくてしかも金払いもいいですから」
「この店でもか」
「はい、礼儀正しいですよ」
正規軍はというのだ。
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