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八条学園騒動記

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第五百二話 撮影の後でその四

「そうだったから」
「大人になるとね」
「女装したら」
「お鬚で女装ってどう?」
 ジュリアはジョルジュにこの姿のことを真面目に問うた。
「顎鬚生やしたジュリエットとか」
「それはないね」
 ジョルジュはジュリアにうわ、という顔になって応えた。
「幾ら何でも」
「そうよね、お鬚はね」
「女の子にはないからね」
「実はあるのよ」
 ジュリアはこの事実も話した。
「これがね」
「ああ、うっすらと生えるよね」
「寒い地域にいたらね」
 防寒の為だ、体毛は防寒の為にどうしても必要なのだ。
「生えるのよ」
「男の人位濃くなくても」
「それでもね」
 生えるものは生えるというのだ。
「そうだけれど」
「お鬚だらけのジュリエットは」
「ないでしょ」
「どう考えてもね」
「だから男の子だけしかね」
「なれなかったんだね」
「ええ、けれどね」
 それでもとだ、ジュリアは言うのだった。
「お芝居でだけは女装が出来たのよ」
「そうだったんだね、ただね」
「ただっていうと?」
「教会それで文句言わなかったのかな」
 当時のローマ=カトリック教会がとだ、ジョルジュはこのことについて述べた。
「あれだけ口煩かったのに」
「世の中のあらゆることにね」
「あれだけ言っていた当時の教会が」
「ああ、あの時イギリスはね」
 ジュリアはシェークスピアの頃のイギリスの頃から話した。
「カトリックから離れてたから」
「ああ、当時の王様が離婚するとかで」
「それで揉めてね」
 この時代にも存在しているイギリス国教会のはじまりである、この教会は今でもイギリスの第一の宗教となっている。
「それでね」
「教会もなんだ」
「口出し出来なかったのよ」
「そうした経緯があったんだね」
「本当に当時のバチカンは凄かったけれど」
「女装しただけで火炙りとか」
「イギリスはカトリックから離れていたから」 
 このこともあってというのだ。
「お芝居位はってね」
「なったんだね」
「そうみたいよ、まあ今じゃね」
「普通に女の子が演じているからね」
「ロミオを女の子が演じたりも」
「そうしたこともあるね」
「やっぱりその逆もあるけれど」
 ジュリエットを男が演じることだ、このことは連合だけでなくエウロパも普通に行われる様になっている。
「普通にね」
「なってるね」
「火炙りの時代と違ってね」
「このことはいいことだよね」
「ええ、私もそう思うわ」 
 ジュリアはジョルジュに微笑んで答えた。
「本当にね」
「そうだよね」
「というかね」
「というかっていうと」
「いや、キリスト教って今と違ってね」
「ああ、無茶苦茶だったね」
 ジョルジュはジュリアが言わんとしていることを察して彼から言った。
「そうだったね」
「何でもかんでも駄目でね」
「それで教皇様とかは腐敗していて」
「物凄くね」
 その腐敗はこの時代でも語り継がれている程だ。 
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