星河の覇皇
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第七十部第一章 外縁部の賊その二十九
「それはするなよ」
「はい、わかりました」
「それじゃあそうします」
「俺達もそういうの嫌ですからね」
「軍服着て飲んで注目されるのも」
「本当にな、俺もな」
曹長はこうも言った。
「飲むけれどな」
「その時はですね」
「曹長も私服ですね」
「それで飲んでますね」
「ワインならいいがな」
サハラではワインは飲んでも特に言われない、この時代では。それでこうしたこともいいとされているのである。
しかしだ、それでもなのだ。
「他の酒になるとな」
「はい、そうですよね」
「ビールとかそうした酒になりますと」
「ちょっと、ですよね」
「どうしても」
「そうだ、言われるからな」
ワイン以外の酒を飲む時はというのだ。
「だからわかったな」
「というか風俗行くならですよ」
「軍服着て行くと難しいですね」
「それはです」
「行きにくいですよね」
「ああ、その通りだ」
その時点でとだ、曹長はまた言った。
「だから最初からだ、いいな」
「はい、私服で出ます」
「それで遊んできます」
「酒とお姉ちゃん」
「そっちを楽しんできます」
「そうしろ、まあ俺も女房と暫く会えないからな」
出撃中だからだ、このことはどうしてもだ。
「そうした店に行くか」
「そうします曹長も」
「そうされますか」
「ああ、さもないとな」
それこそというのだ。
「ストレス溜まるからな、俺も」
「ですよね、やっぱり」
「そうしたことを解消しないと」
「金があるのなら」
「そうした店に行って」
「金はあるだろ」
給料を貰っているからだ、給料については義勇軍の将兵達は正規軍の将兵達と比べて高い額を貰っている。
「だったらな」
「はい、あるならですね」
「使えってことですね」
「そういうことですね」
「そうだ、御前等博打はしないな」
曹長はこのこともだ、兵士達に聞いた。
「そっちは」
「はい、しません」
「特にです」
兵士達もこう答える、それもすぐに。
「そうしたことはです」
「無駄金使うだけですから」
「何の意味もないですから」
「無駄遣いの最たるものですね」
「ならいい、あれは金を使う遊びだ」
それこそ酒や風俗以上にとだ、曹長も言う。
「借金一直線だからな」
「よくある話ですよね」
「そうした話って」
「本当にですよね」
「とりわけ軍隊じゃ」
「ああ、だからな」
それでとだ、曹長もまた言う。
「出来る限りそういうのはするなよ」
「はい、金と女に使います」
「そうしたことはしないです」
「博打には使いません」
「そういうことでな、じゃあな」
あらためてっだ、曹長は兵士達に言った。
「今は英気を養えよ」
「わかりました、じゃあ」
「出撃の時まで楽しんでます」
「酒に女に」
「あと食いもので」
「俺も楽しむか」
曹長もそちらに傾いた、だが。
すぐにだ、彼は表情を真面目なものにさせてこうも言った。
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