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星河の覇皇

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第七十部第一章 外縁部の賊その二十五

「外では話をしません」
「暗号でもだな」
「そうです、会議室で行いますが」
「会議室の前でも通ってか」
「そうかも知れないです、若しくは本当にです」
「スパイか」
「いるかも知れません」
 この可能性もやはり言った。
「やはり」
「調べますか」
「これからはな」
「是非、そして」
 これからはというのだ。
「連合の軍事機密はです」
「さらに厳重に管理するか」
「そうしましょう」
「そうだな、たまたまかも知れないがな」
「オムダーマンも潜水艦を開発しだしていることは」
「その辺りも調べたいな」
 何故連合とオムダーマンが同時期に潜水艦の開発をはじめたかをだ。連合にしてはそれが軍事機密であったからだ。
「是非な」
「そうですね、しかしオムダーマンならばです」
「尻尾を掴ませるかどうか」
「おそらくです」
「そうはさせないな」
「オムダーマン軍は精鋭です」
 そうした者達であるが故にというのだ。
「常に用心もしていてです」
「我々にだな」
「そうしたことはさせないでしょう」
「そうなるか」
「はい、ですから」
「ではだな」
「今回はです」
 まさにというのだ。
「オムダーマンが若しそうしていてもです」
「もう手掛かりは消しているか」
「そうではないかと、確かに調べますが」
「そこまで抜かりのある相手ではないか」
「やはり」
「そうか、しかし思うことは」
 ここでだ、アッチャラーンは八条にまた話した。
「オムダーマンも抜かりないな」
「はい、我々にも多くのスパイを送り込んでいるのなら」
「見ている」
「そして狙っているのは」
「我々の技術か」
「軍事技術だけでなく」
「民間技術か」
 これをだ、アッチャラーンは話に出した。
「それだな」
「そうです、連合の民間技術は他国と比べて隔絶しています」
 それが連合の豊かさの土台の一つでもある。
「それも数百年も」
「特にサハラとはな」
「全く違います」
「サハラは戦乱に覆われていた」 
 この千年の間だ。
「そしてその結果な」
「民間技術は大きく遅れていた」
「そうだ、だからだ」
「それで、ですね」
「その遅れを取り戻す為にだ」
 まさにというのだ。
「スパイもだな」
「送り込むでしょう、ただ」
「連合の最新技術はだな」
「彼等に導入出来るか」
「今すぐに導入してもな」
「文明、技術の度合いが離れています」
 それも相当にというのだ。
「ですから」
「すぐに導入してもな」
「その技術は使えません」
 それが現実だというのだ。
「数百年の開きがありますから」
「ガス灯の時代に蛍光灯だな」
「それ以上の開きがあるかも知れません」
「そこまで違うとな」
「はい、連合の最新技術を導入しても」
 スパイを潜り込ませてそうしたものを手に入れてというのだ。 
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