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星河の覇皇

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第七十部第一章 外縁部の賊その二十四

「注意すべきか」
「そうですね」
「駐在武官もな」
「駐在武官は情報収集が仕事です」
 自国の為のだ、言うならば外交官でもあるのだ。
「それ故に」
「それにだな」
「はい、連合の情報も集めています」
 それこそどの駐在武官もだ。
「そうしていますので」
「スパイかというとな」
「そうも言えますが」
「駐在武官全てを取り締まることは出来ない」
 アッチャラーンはこの現実を言った。
「どうしても」
「そこまでは」
「では曖昧な線引きになるが」
「それでもですね」
「明確なスパイ容疑は取り締まるか」
「そうしましょう、ただエウロパについてはです」
 この国はというと。
「エウロパ出身ならばです」
「誰でもだな」
「例外なくです」
「連合自体に入れないな」
「そうしましょう、しかし情報が漏れている」
「その可能性があるな」
「油断出来ません」
 とてもという口調での言葉だった。
「どの国に対しても」
「潜水艦について何故知ったのか」
「それが問題だな」
「全くです、そして」
「そしてか」
「これは私の予想ですが」 
 八条は何故オムダーマンが潜水艦の開発を進めているのかを言った。
「技術は漏れていません」
「潜水艦の件はか」
「軍の最新技術も」
「それはだな」
「ただ、潜水艦の開発を進めているという話がです」
 それがというのだ。
「聞かれました」
「そうなのか」
「国防省にオムダーマンの駐在武官が来ることも多いですが」
「その時にか」
「潜水艦の話を聞かれた様です」
「そこから話が漏れたか」
「そうかも知れません」
 こうアッチャラーンに話した。
「そう考えました」
「まさに壁に耳あり障子に目ありか」
「そうかも知れないです」
「話が漏れたか」
「潜水艦の開発をしているという」
「そうした話は国防省でしているか」
「暗号で話もしていますが」
 そこでというのだ。
「勘付かれたかも知れないです」
「勘のいい士官がいるか」
「どうやら」
 そうだというのだ。
「伊達に駐在武官として送られてはいないかと」
「そうか、暗号で部屋の中で話をしていてもか」
「気付く人は気付くということでしょう、ですが」
「国防省の中とはいえだな」
「迂闊でした」
「軍事機密の話をしていたことはか」
「いえ、そうした話は会議室や密室でしますが」
 しかしというのだ。
「それでもです」
「察せられているか」
「その様です」
「密室で暗号で話していてもか」
「流石に我々もです」
 軍事の優先順位が低い連合でもだ。
「軍事機密は重要です」
「それも相当にな」
「新兵器の話もです」
 それもというのだ。 
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