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レーヴァティン

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第九十話 ならず者達その七

「そうなるっちゃからな」
「河豚は慎重に食わないとな」
「駄目っちゃ」
 まさにとだ、愛実は述べた。
 そうして鍋を見てあらためて言った。
「もういいっちゃな」
「そうだな、ではな」
「鍋も食べるっちゃ」
「そうするか」
 見れば鍋の中の河豚も野菜も豆腐も充分煮えていた、それで一行はそれぞれの椀にぽん酢を入れて食べるが。
 鍋についてもだ、英雄は言った。
「こちらもいいな」
「はい、まさに幾らも食べられます」
「まことに」
 良太と謙二も頷く。
「美味しいですね」
「本当に」
「鍋はな」
 まさにとだ、英雄はまた言った。
「河豚の最高の食い方の一つだ」
「お刺身や唐揚げと並ぶ」
「そうした食べ方ですね」
「お酒にも合いますし」
「いいですね」
「全くだ、酒にも合う」
 英雄は実際に今飲んでいる、そのうえでの言葉だ。
「河豚はな」
「こうして般若湯も飲むと」
 謙二は僧侶として酒をこう呼んだ。
「身体も温まりますしね」
「最高です」
 良太も言った。
「特に熱燗が」
「熱燗ですか」
「いいですよ」
 良太は謙二に笑って話した、飲みながら。
「今飲んでいますが」
「貴方は熱燗もお好きですか」
「はい、好きです」
 その通りという返事だった。
「冬等はです」
「温めた熱燗とお鍋ですか」
「この組み合わせで徹底的に温まります」
「では拙僧も」
 謙二はその話を聞いて述べた。
「これからです」
「熱燗をですか」
「飲みます」
 そうしてというのだ。
「これから」
「そうですか」
「そしてです」
 こう言ってだ、そのうえでだった。
 彼も熱燗を頼んだ、そうして飲むと。
 実際に美味いと思った、それで言った。
「確かにいいですね」
「美味しいですね」
「お鍋にも合います」
「本当にそうですね」
「それでは」
「今日はこちらを飲みます」
 熱燗をというのだ。
「そうします」
「そして徹底的に温まりますね」
「外は寒いですしね、ただ」
「ただとは」
「拙僧これまで熱燗を飲んだことはありませんでした」
 一度もというのだ。
「飲もうと思ったこともです」
「なかったですか」
「そうでした」
 こう良太に話した。
「これまで」
「そうですか、しかし」
「熱燗もですね」
「美味しいので、特に寒いと」
「冬は、ですね」
「最高です」
 こうまで言う良太だった。 
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