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第二章

「攻めていけばいいのよ」
「攻めていくのね」
「そうよ、何度も言うけれど打てるものなら打ってみろ」
「その感じね」
「そうすればもっとよくなるわよ」
 こう美冬に言いつつだ、智恵は彼女を引っ張る様にしてスーパーのお菓子のコーナーにまで来た。するとだった。
 普段よりも可愛らしく高価な感じのチョコレート達が売り場に置かれていた、智恵はそのチョコレート達を見つつ美冬に尋ねた。
「さて、これからね」
「チョコよね」
「まずクラスの男子連中にはね」
 彼等についてはというと。
「もう義理よ」
「義理チョコね」
「これでいいわ」
 某キットカットを手に取っての言葉だ。
「あたしは普通でいくから」
「ひょっとして」
「一人一個よ」
 その某キットカットをというのだ。
「それでいいわ」
「何かそれって」
「いいのよ、他の娘もこんな感じだから」
「一人一個なの」
「チロルチョコとかね」
 安売りのそれをというのだ。
「それで終わりだから」
「だからなのね」
「それでもクラスの女の子全員があげるのよ」
 義理チョコ、それをというのだ。
「それならね」
「これでいいのね」
「そうよ、それなら一人一個でもかなりの量になるでしょ」
「うちのクラスの女の子に十人だから」
「それでよし、どうせ相手の返事もよ」
 ホワイトデ―の時のそれはというと。
「義理のマシュマロなんだか」
「一人一個ね」
「じゃあこれでいいのよ」
「そうなの」
「それであんた義理はどうするの?」
 智恵は美冬に顔を向けて尋ねた。
「何を買うの?」
「ううん、これかしら」
 美冬は智恵が手に取って某キットカットの隣にあったそれの苺味を手に取ってそのうえで彼女に応えた。
「苺ね」
「じゃあそれね」
「うん、これにするわ」
「そうね、じゃあ男子への義理チョコはそれで」
「いいのね」
「義理だからそれでいいのよ、それでね」
 あらためてだ、智恵は美冬に話した。
「ここからが本題よ」
「本命チョコね」
「パパとママに」 
 智恵が挙げる相手は家族だった。
「コーちゃんにね」
「彼氏さん?」
「弟よ、小学三年のね」
「智恵ちゃん弟さんいたの」
「この前スカートめくりしてきたから頭ぽかってやってやったわ」
 智恵は弟とのことを自分から話した。
「下にスパッツ穿いてたから見えなかったけれど」
「体育の時の?」
「そう、今も穿いてるけれどね」
「そこ私と同じね」
「冷えるからね」
 バレンタインは冬だ、スカートそれにミニだと余計に辛い。
「冬はいつも穿いてるわよ」
「そうよね」
「冷え性は敵よ」
 智恵はこうも言った。
「だから用心してるのよ」
「お家の中でもなのね」
「スカートを穿いても」
「仲はスパッツね」
「逆に暖かくしてないとママに怒られるのよ」
 チョコレートを物色しつつだ、智恵は美冬に話した。 
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