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星河の覇皇

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第六十九部第五章 分権派の警戒その十

「敵になりますと」
「あれ程厄介な方もいません」
「とにかくこちらの弱点を衝いてきます」
「それも憎らしいまでに的確に」
「謀略の天才です」
「特に買収が巧みです」
「あの首相は暗殺は使わない」
 尚この時代では流石に違うが暗殺はロシアでは非常によくあることだった、それもトップが政敵なり自分を脅かしそうな者をそうするのだ。スターリンがいい例であろうか。
「賄賂が得意だ」
「オーソドックスな謀略ですが」
「その謀略を見事に使ってきますね」
「そして攻めてくる」
「弱みを掴んでもきますし」
「イスラエルの長老達と同じだけ厄介だ」
 連合において隠然たる力を持つ彼等に匹敵するというのだ。
「前の首相も強かだったがな」
「ああ、狸と言われていましたし」
「実際に結構な狸でしたね、あの方も」
「あの方も難敵でした」
「しかしあの首相は」
「前任者以上だ」
 グリーニスキーは言い切った。
「実に厄介な相手だ」
「敵に回せば」
「その時はですね」
「嫌になる位に印象に残る」
「そうした方ですね」
「だから敵はしたくない」 
 グリーニスキーの伊東への個人的な感情である。
「出来る限りな、しかしだ」
「それでもですね」
「衝突するのなら」
「その時は」
「やるしかない、しかしだ」 
 それでもとも話すのだった。
「その伊東首相の考えを読みたいな」
「我々の三国主導案に反対であることはわかっていても」
「その真意を知りたい」
「そういうことですね」
「そうだ、日土伯の三国で主導したいなら」
 その場合もだ、グリーニスキーは話した。
「私は受け入れない、ロシア大統領としてな」
「それは、ですね」
「そちらの三国主導なら」
「絶対にですね」
「それはアメリカと中国と同じだ」
 今回組んでいる両国もというのだ。
「この三国の組み合わせは案外少ないがな」
「はい、我々はよく両国と衝突しますから」
「アメリカ、中国と」
「しかも奥の場合両国と常にです」
「衝突しています」
 ロシアの常だ、国益のうえでも相性のうえでもロシアはよくアメリカ、中国と対立する。この時代でもそうであるのだ。
「そして日本とです」
「比較的よく組みます」
「露米、露中よりも」
「露日ですね」
「そうだ、日本とはだ」 
 二十世紀は何かといがみ合った両国はというと。
「よく組んでいる」
「そして両国とあたっていますね」
「よく」
「二対二で」
「そうしていますね」
「そうだ、しかし今回はだ」
 中央政府に対するにはというのだ。
「事情が違う」
「各国政府の合従の中での主導国の決定」
「それですね」
「だからこそですね」
「ここは、ですね」
「日本の対立もですね」
「選択肢に入れている、しかしその対立はだ」
 例えそうなるにしてもというのだ。
「明日までだ、明日までにだ」
「話を決める」
「そうされるのですね」
「あまりうかうかしていると中央政府に先んじられる」
 彼等の方が動くというのだ。
「我々の今回の相手はあくまで中央政府だ」
「日本ではなく」
「中央政府ですね」
「彼等の権限の拡大に反対する」
「その為のことですから」
「日本は敵ではない」
 この事実をだ、グリー二スキーは指摘した。 
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