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星河の覇皇

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第六十九部第四章 国境外縁部その四十

 だからだ、今もこうバールに言うのだ。
「ですから」
「それでなのですね」
「奇策はです」
 どうにもというのだ。
「考えついてもです」
「リスクを考え」
「実用までは考えません」
 その段階までで没にするというのだ。
「そうしています」
「オーソドックスに徹してされていますか」
「オーソドックスと言われても」
「的確で堅実な政策ですね」
「やはり政治は結果ですね」
「確かに」
 その通りだとだ、バールも答えて言う。
「政治は幾ら素晴らしい政策でもです」
「実績が第一ですね」
「はい」
「だからですね」
「結果が出てしかも長期的に効果が出る政策を考えますと」
 そうしただ、広く長く効果が出る政策になるというと、というのだ。
「やはりオーソドックスになります」
「そうした政策がですね」
「一番です」
「政治は奇をてらうものではないですね」
「私はそう考えます」
「オーソドックスが一番いい」
「陳腐な政策といわれても」
 ありきたりと、というのだ。例えるのなら将棋でまずは飛車や角の道を開けてそれから王も動かしていくような動かし方だ。
「それはです」
「効果があるのなら」
「それでいいのです」
「そういうことですね」
「私はそう考えています」
「マニュアルもですね」
「それもまた効果があるのなら」
 それならばというのだ、そして。
 八条は肉を食べた、鯨の肉は鯨独特の味にパパイアや香辛料、それにソースの味も加わり実に美味い。しかも柔らかい。
 その柔らかさも楽しみつつだ、鯨を食べた後は。
 パンを食べた、ここでバールに言うのだった。
「このフルコースも」
「オーソドックスですね」
「オーソドックスな海産物のフルコースです」
「そうですね」
「海草とレタス、トマトやセロリのサラダに」
 これからはじまりだったのだ。
「海老のスープ、スパゲティはネーロ」
「烏賊墨でしたね」
「そしてクラゲと野菜のオートブルに」
 生牡蠣はその次だったのだ。
「先程の鯨でしたね」
「シーフードのメニューもでしたね」
「やはりオーソドックスでした」
 そうだったというのだ。
「こちらも」
「そうでしたね」
「それにです」
「最後はですね」
「デザートです」
「最後はそれですね」
「オーソドックスです」
 こちらもというのだ。
「そうなっています」
「そうですね」
「はい、ですから」
 それ故にというのだ。
「やはりです」
「オーソドックスですね」
「シーフードで統一されたフルコースです」
「しかしそれがですね」
「美味しいです」
 バールは微笑み八条に答えた。
「流石にパンまでは海の幸ではないですが」
「そうですね、ですがこのパンもまた」
「オーソドックスですね」
「そうなりますね」
「確かにオーソドックスであっても」 
 バールは白いパンに苺のジャムを付けていた、普通の赤い苺のジャムだ。そのジャムをパンに多く付けて赤ワインと共に口にする。 
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