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星河の覇皇

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第六十九部第四章 国境外縁部その三十三

「そうするか?」
「それがいいですか」
「帰るよりも」
「何か連合の連中から色々見られていても」
「それでも」
「だから視線は気にするな」
 下士官はまた言った。
「もうな」
「気にしてもですね」
「仕方ないってことですね」
「結局は」
「そういうことですね」
「そういうことだ」
 まさにという返事だった。
「そんなの正規軍と一緒にいてもそうだろ」
「ええ、港にいる正規軍もですからね」
「そうした目で見てきますからね」
「港で勤務している正規軍の将兵も」
「俺達を見てますね」
「連合は確かに三百以上の国に分かれていてな」
 下士官は連合のこのことも話した。
「お互いに仲が悪いさ」
「それもかなりですね」
「物凄い仲の悪さですね」
「絶対にいつも何処かの国と何処かの国が揉めてますね」
「言い合いばかりで」
「大国は我が儘で」
「小国は小国で動き回って」
 異邦人である彼等も連合のそうした事情を見て知っていて言うのだ。
「サハラみたいに戦争はないですし」
「武力衝突もないですけれど」
「仲は悪いですね」
「それもかなり」
「ああ、そうして三百以上の国が仲が悪くてな」
 そしてというのだ。
「中央政府とも仲が悪いけれどな」
「それでもですね」
「連合は連合ですね」
「一つの国ですね」
「結局は」
「そうなんだよ、連合は一つの国でな」
 つまり国家連合であるのだ、連合はその正式名称通り国家連合でありそれ自体で一つの国であるのだ。
 そしてだ、その一つの国の市民だからなのだ。
「俺達は異邦人なんだよ」
「そういうことですね」
「連合から見ればですね」
「所詮俺達はですね」
「余所者ってことですね」
「そうだ、このことをあれこれ言ってもな」
 それこそというのだ。
「もう仕方ないんだよ」
「そういうことですね」
「俺達は連合じゃないから」
「だからですね」
「そういう目で見られるってことで」
「諦めるしかないんですね」
「まあ市民にはなれるからな」
 このことは可能だからというのだ。
「そういう目が嫌なら市民になればいいさ」
「まあ別に迫害はされないですし」
「そういう目で見られるだけで」
「仕事先もありますし」
「別に困りませんね」
「ああ、もう気にするな」
 奇異や警戒の目で見られてもというのだ。
「大抵それで終わりだからな」
「わかりました」
「それじゃあです」
「もう俺達も気にしません」
「特にです」
「そうしていきます」
「そうな、まあ連合は豊かだからな」
 下士官はこのことからも言った。 
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