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星河の覇皇

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第六十九部第四章 国境外縁部その三十二

「俺達も」
「イスラムでもですか」
「ワインとかビール以外も飲んでいいんですか」
「ビールでも抵抗ありますが」
「それでも」
「連合のムスリムは飲んでるだろ」
 他の酒もというのだ。
「見れば豚肉も食うし犬も飼ってるぞ」
「ですね、アッラーに許しを乞うて」
「そうして食べていますね」
「犬も飼って」
「普通にしていますね」
 イスラムでは犬は好まれない、その唾液が不浄なものとされているからだ。これは狂犬病を恐れてのことだという。
「連合では」
「ごく普通にしていますね」
「ムスリムでも」
「ここのイスラムはかなり違うからな」
 スンニー派、シーア派に関わらずだ。
「サハラのとはな」
「ですね、それもかなり」
「違っていますね」
「同じイスラムとは思えないですね」
「ルーズなものですね」
「ああ、だからな」
 彼等から見てルーズさになっているからだというのだ。
「ここじゃムスリムでもだよ」
「色々な酒飲んで」
「豚肉も食ってますね」
「バーとかパブでも」
「レストランでも」
 当然居酒屋でもだ。
「普通にしていますね、そうしたこと」
「鱗のない魚とかも食って」
「虫も色々食って」
 連合では昆虫料理も存在している、蝉やイナゴだけでなくその他の昆虫やそれに近い生きもの達が食べられている。
「何かとですね」
「色々食べてますね」
「連合のムスリムは」
「そうしてますね」
「ああ、そうしてみるか」
 こう兵士達に言うのだった。
「何ならな」
「つまり連合にムスリムになる」
「そうなるんですか」
「俺達はそうなって」
「そしてですか」
「サハラのイスラムじゃ許されなくてもな」
 ワインやビール以外の酒を飲んだり豚肉料理を食べることがだ。そして大っぴらに犬を飼ったりすることもだ。
「こっちじゃいいからな」
「連合ならですね」
「連合のムスリムならですね」
「いいから」
「だからですね」
「そうするか」
 こう問うのだった。
「俺達も」
「つまり連合に入れってことですか」
「連合市民になって」
「そうして」
「そうするか」
 下士官はまた言った。
「サハラに戻るのもいいけれどな」
「この連合で生きる、ですか」
「色々飲むものや食いものがある国で」
「それに自由もある」
「連合はサハラよりもな」
 それこそという言葉だった。
「豊かだろ」
「はい、それもかなり」
「相当なものですね」
「サハラとは比べものにならないです」
「何もかもが」
「ああ、だからな」
 それ故にというのだ。 
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