| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六十九部第四章 国境外縁部その二十九

「何かこの街居辛い雰囲気だしな」
「俺達も変な目で見られてるしな」
 市民達の目も見てだ、彼等は話した。見れば実際にだ、市民達は憲兵隊である彼等を何処か警戒する目で見ていた。
 それでだ、こうも話すのだった。
「憲兵は警察なのにな」
「軍隊の中のな」
「そうだっていうのにな」
「扱い悪いな」
「どうにもな」
「視線がな」
 市民たちのそれがだった、まさに。
「変な感じだな」
「何も悪いことしていないってのにな」
「しそうな顔で見ていてな」
「警戒されてるな、俺達も」
「警戒しているのはこっちだよ」
 不心得者達がいないかとだ、憲兵隊は軍の中の警察であるのでそうした者達を警戒して今は巡回をしているのだ。
 だが、だ。その市民達の目を見て感じるのだ。
「流石に警官は呼ばれないけれどな」
「変な目で見られるな」
「何だこの目は」
「俺達は何もしないさ」
「それこそな」
「憲兵隊だぞ、俺達は」
「義勇軍のな」
 こう言うのだった、しかし。
 ここでだ、下士官の一人が彼等にこう言った。
「仕方ないだろ、それは」
「俺達はこうした目で見られることはですか」
「仕方ないっていうんですか」
「それは」
「そうだ、俺達は連合の人間じゃないからな」
 小声での言葉だった。
「だからな」
「警戒されてもですか」
「仕方ないんですね」
「ここの人間じゃないから」
「連合の人間じゃないから」
「ここは連合だぞ」
 このことをだ、下士官は強く言った。階級を見れば一等軍曹である。ただ年齢は三十を少し越えた位の感じである。
「だからな」
「連合の人間じゃないとですか」
「義勇軍の人間じゃないから」
「そうした目で見られる」
「それは当然ですか」
「ああ、気にするな」
 こうも言ったのだった。
「気にしても仕方ないからな」
「そういうことですか」
「連合の人間じゃないことはですか」
「頭に入れてですか」
「やっていくしかないですか」
「義勇軍は難民の軍隊だぞ」
 この下士官もこのことを言った。
「わかるな」
「ですね、俺達は難民ですからね」
「それが軍隊に入れてもらってるってことで」
「サハラの人間ですからね」
「連合の人間じゃないですから」
「何処も余所者には冷たいものだよ」
 この現実を言うのだった。
「それは結局連合もなんだよ」
「軍隊にいてもですね」
「連合の人間じゃないからですね」
「ましてや戦争ばかりしていたサハラの人間ですし」
「血生臭いイメージもあるってことですね」
「だから余計にそういう目で見られるんですね」
「そういうことだ、余所者でしかも戦争ばかりしていたところから来たんだ」
 この二つの事情故にというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧