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星河の覇皇

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第六十九部第四章 国境外縁部その二十八

「俺達ずっとこうだぞ」
「難民のままで」
「ずっと生きるってことか」
「奇異と警戒の目で見られて」
「やってくことになるんだな」
「銃を持っていなくてもな」
 それでもともだ、言葉が出た。
「警戒されてな」
「怪しまれてな」
「嫌な目で見られて」
「そうしてだな」
「あれこれ言われる」
「こっちの方が嫌になる」
「我慢して功績を挙げて昇進して」
 そうしてというのだ。
「どっちかにするか」
「連合市民になって連合王国に入るかサハラに戻るか」
「どっちかか」
「連合王国に入らなくともな」
「それでもだな」
「このままじゃどうしようもないからな」
「難民だとな」
 こう話されるのだった、そして。
 兵士達はワインと羊の肉を楽しんでからだった、そのうえで勘定を払って店を出たが港に帰るシャトルが出るシャトル港に行く途中でだ。
 義勇軍の憲兵の一団と擦れ違った、それで彼等に敬礼をしたが。
 その憲兵達の中に彼等の同期が一人いてだ、こう彼等に言って来た。
「もう戻るのか?」
「ああ、結構飲んだからな」
「帰られなくなるまでにな」
「船に戻るな」
「そうさせてもらうな」
「そうか、じゃあな」
 憲兵隊の兵士は彼等に応えた。
「戻れよ」
「それじゃあな」
「そっちはパトロールか」
「それか」
「見ての通りだよ」 
 笑っての返事だった。
「夜のな」
「大変だな、そっちも」
「憲兵隊の方も」
「ああ、むしろ今からな」
 憲兵隊の同期は笑って彼等に言う。
「俺達は忙しいんだよ」
「酔って暴れる奴とかな」
「酔い潰れてる奴とかな」
「探して抑えたり連れて行ったり」
「そうしないといけないからな」
「そうだよ」
 まさにというのだ。
「だからなんだよ」
「それでだよな」
「そっちは今から仕事だな」
「俺達は船に帰るが」
「そうなんだな」
「まあそれが俺達の仕事さ」
 憲兵隊のというのだ。
「しっかりやってくるさ」
「ああ、頑張れよ」
「そっちの仕事もな」
「それじゃあまた今度飲もうな」
「そうしようもな」
 こう話をしてだ、彼等は別れの挨拶をしてシャトルから港にそうして今度は自分達の船に入って休むのだった。しかし憲兵隊は。
 実際にここからが仕事だった、夜の街中をだ。
 歩きつつだ、暴れていたり酔い潰れていそうな将兵達を探した。だが。
 そうした者はおらずだ、セーラー服を着た憲兵達は笑って言った。
「誰もいないな」
「ああ、変なことしてる奴はな」
「暴れたり寝てる奴はな」
「一人もいないな」
「街にな」
「まあ当然か?」
 ここでこうした言葉も出た。 
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