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星河の覇皇

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第六十九部第四章 国境外縁部その二十四

 その規律は正しく行軍の間は乱れることがなかった、だが。
 その彼等を銀河や停泊した港、休憩に降り立った星で見た連合市民達は眉を無意識のうちに曇らせてこう言った。
「やっぱり違うな」
「何か猛々しいな」
「義勇軍はな」
「正規軍と違って」
 彼等の軍を引き合いにして言うのだった。
「正規軍なんかな」
「ああ、来てもな」
「穏やかでな」
「規律正しくしかも礼儀正しい」
「レセプションなんかやってくれて」
「凄くいいのにな」
「雰囲気がな」
 非常にというのだ、だが。
 義勇軍についてはだ、こう言うのだった。
「何か近寄り難いな」
「難民だしな」
「からかったら銃を抜きそうな」
「そんな感じだな」
「怖い奴等だ」
「全くだ」
 そうだというのだ。
「殺気立ってないか?」
「そういえばそうだな」
「死にに行く様な顔をしてるな」
「まさに戦いに行く」
「そうした国だな」
「感覚的にな」
 それこそというのだ、そしてだった。
 義勇軍の将兵達が店に入り食事を頼んでもだ、こう聞き返すのだった。
「ご注文はこれでいいのですか」
「はい、そうですが」
「何か」
「あの、お酒は」
 ウェイトレスの少女が店に来た義勇軍の兵士達に問い返す。浅黒いというよりかは赤に近い肌の色をした彫のある黒髪を持ちセーラー服を着た彼等に。
「ワインですか」
「はい、それをお願いします」
「赤ワインをボトル人数分だけ」
「それだけお願いします」
「わかりました、そしてお肉は」
 こちらのこともだ、ウェイトレスは聞き返した。
「羊の」
「マトンをお願いします」
「マトンを焼いたものを」
「そちらを」
「はい、では」
 緊張してだ、ウェイトレスは兵士達に確認してだった。そのうえで。
 酒と肉を彼等に出すがだ、店に戻ってマスターに言うのだった。
「何か怖いですね」
「ああ、そうだな」
 マスターも頷いて応える。
「義勇軍の連中はな」
「正規軍と違って」
「正規軍はな」
「はい、普通ですからね」
「警官や消防署員と一緒だからな」
「公務員ですし」
「何も怖いことないけれどな」
 正規軍達はというのだ。
「別にな、しかしな」
「何か義勇軍怖いですね」
「威圧感あるからな」
「そうそう、威圧感です」
 ウェイトレスもそこがというのだ。 
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