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星河の覇皇

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第六十九部第四章 国境外縁部その二十五

「あって」
「妙にな」
「近寄りにくくて」
「注文を受ける時も」
「怖いか」
「正規軍はいつもレセプション開いて」
 これも彼等の仕事だ、むしろ訓練よりもこちらをメインにしていると言っていい位に市民達との親睦を深めているのだ。
「食いものに酒もな」
「出してくれますし」
「悪い感じしないよな」
「災害の時は助けてくれて」
「いい人達だよ」
「おおむねは」
「しかしな」
 それでもとだ、マスターは言うのだった。
「義勇軍はそういうのしないしな」
「ずっと訓練ばかりで」
「そうらしいしな」
「殺伐としてません?」
「してるしてる」
 実際にとだ、マスターはウェイトレスに真顔で返した。
「ちょっと変なことしたらな」
「銃抜くとか」
「サハラだぞ」
 彼等の故郷のことも言うのだった、キッチンの傍で。
「あそこはずっと戦争やってただろ」
「千年の間」
「切った張っただぞ」
「ヤクザ屋さんの世界ですね」
「おい、ヤクザはまだまだ甘いぞ」
 真顔でだ、マスターはウェイトレスに言い返した。
「それこそな」
「えっ、サハラってヤクザ屋さんの世界よりも怖いんですか」
「戦争やってたんだぞ」
 その千年の間というのだ。
「身内同士でも背中から撃つとかな」
「普通だったんですね」
「もう何時誰が死ぬかわからない」
 それこそというのだ。
「戦場でも政治の場でもな」
「切った張ったですか」
「仁義なんてなかったんだぞ」 
 サハラにおいてはというのだ。
「ヤクザ屋さんの世界は抗争あってもそんな無茶しないだろ」
「確かに」
 連合においてはだ、実際に連合の暴力団なりそうした闇社会は少なくとも常に殺し合いをしたりはしない。
「滅多に抗争までは至らないですね」
「けれどな」
「サハラはですか」
「戦国時代だったんだぞ」
 文字通りである。
「同盟も意味がないな」
「世紀末救世主の世界ですか」
「それだよ」
 マスターはそのものずばりとだ、ウェイトレスに言った。
「まさにな」
「恐ろしい世界なんですね」
「無法地帯も多くてな」
 戦乱で人手が治安維持まで回らない星系も存在してだ、惑星や地域単位でもそうした場所が生じていたのだ。
「戦争に巻き込まれたりとかな」
「地獄みたいな場所だったから」
「そこで生きてきたからな」 
 サハラの者達はというのだ。
「だからな」
「私達とは違うんですね」
「同じ人間でもな」 
 それでもというのだ。
「サハラの人達は違うんだ」
「バイオレンスな世界なんですね」
「戦争と裏切りとな」
「バイオレンスですか」
「そんな世界で生きてきたから」
 それこそというのだ。 
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