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レーヴァティン

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第八十五話 護民官その五

「演説すればいいのよ、馬車に乗ってもいいし」
「選挙演説カーだな」
「その要領でね」
「それも俺達の世界でのやり方だしな」
「お昼は有力者を巡りもして」
 このことも忘れずにというのだ。
「それでね」
「縁説は夕方か」
「この時間が本当に一番いいわよ」
「あれだな」
 その夕方の演説時間についてだ、久志は気付いた顔になって言及した。
「これ確かに俺達の世界でもやってるけれどな」
「効果的でしょ、演説の時間では」
「確かに人も聞くしな」
「あと頭にも入るわよ」
「そっちにもか」
「そう、はじめた人間がまたね」
「確かはじめたのヒトラーだったな」
 久志はこの歴史上あまりにも有名な人物の名前を出した。
「そうだったな」
「そうよ、この時間が一番聞く人の頭に自分が言っていることが入る」
「だからだよな」
「あえてね」
「夕方を選んだんだな」
「仕事帰りの人達に訴えたのよ」
 即ち有権者達にだ。
「そうしたのよ」
「そうして自分達の支持者を増やしたんだったな」
「仕事帰りは疲れてるし仕事を終えてほっとしていて」
「気がどうしても抜けててな」
「その時間に聞いたことは」
 それはというのだ。
「頭に入りやすいから」
「その時間を選んだんだったな」
「それでナチスは支持者を拡大させたし」
「だからか」
「私達もね」
「それでいくべきだな」
「そう、ヒトラーが好きでなくても」
 三島由紀夫がヒトラーが好きか嫌いかと聞かれれば嫌いと答えるしかないと言った言葉が残っている、ヒトラーはこうした人物なのだ。
「この方法はね」
「選挙にしたらか」
「効果的なのは事実だから」
 それ故にとだ、留奈は久志に話した。
「私はやるべきだと思うわ」
「そうだよな、俺実際ナチスとかヒトラーはな」
 久志も三島由紀夫の様に述べた。
「嫌いって言うしかないしソ連とスターリンもな」
「同じよね」
「どっちの国にもいたくないな」
 その時代にというのだ。
「特にソ連にはな」
「そう思うわよね、やっぱり」
「ああ、けれどな」
「その演説が効果があるなら」
「やるさ」
 確かな声での返事だった。
「そうするさ」
「じゃあ決まりね」
「ああ、そうしてな」
「そのうえで」
「選挙勝っていくぜ、有力者だけの選挙が上か」
「私達の選挙が上か」
「それもはっきりするな、あと今の選挙の要領でな」
 久志は腕を組んでこうも言った。
「実弾、金もな」
「使っていくでござるな」
「勝たないと意味がないんだ」
 久志自身がローマの護民官になる、それが自分達のこの島ひいてはこの世界を救うということの最も確実な第一歩になるからだ。
「それならな」
「実弾も」
「使っていくぜ、それもな」
 進太に鋭い顔で言っていった。
「遠慮なくな」
「どんどん使うでござるな」
「金は使うべき時に使う為にある」
 強い顔での強い声での言葉だった。 
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