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レーヴァティン

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第八十五話 護民官その四

 一行は久志の護民官選へ出ることについての様々な仕事をはじめた、票の確保に政治資金の調達に宣伝にだ。
 実に多くの手段を行った、その中でだ。 
 清音は宣伝を行う中で久志に話した。
「ポスターをね」
「ああ、ローマのあちこちにだな」
「貼ってるけれど」
「他の候補者はだな」
「そうしたことはね」
「してないよな」
「精々有力者や支持者を巡る位よ」
 その程度だというのだ。
「最悪立候補しただけで」
「何も動いてない奴すらいるな」
「何かしら、これ」
 清音は首を傾げさせてこう言った。
「正直なところ」
「相手の選挙戦術がな」
「ぱっとしないわね」
「あれか?俺達の選挙戦術はな」
「現代のもので」
「こっちの世界だとな」
「かなり斬新なものかしら」
 考える顔でだ、清音は述べた。
「やっぱり」
「そうかもな、ポスター貼ったり街のあちこちで演説したりな」
「支持者と握手していったり」
「そうしたことはな」
「私達の世界では常識だけれど」
「その常識が」
 久志も考える顔で述べた。
「まだな」
「こっちの世界ではないのね」
「どうも」
 良太も言って来た。
「これまでのローマの選挙は」
「名士が出てか」
「二人か三人出て」
 そうしてというのだ。
「その名前と資金だけで選挙をしていて」
「宣伝とかはか」
「する必要がなかった様ですね」
「俺達の時代の選挙と違ってか」
「はい、ローマで知らぬ者がないまでの名士が出て」
 そこまでの知名度がある者がだ。
「それで主張も知られているので」
「色々言ったり動く必要なかったんだな」
「そうかと。それでです」
「ローマのどの候補もこれといって動いていないんだな」
「その様です、例え市民なら誰でも立候補出来ても」
「立候補する人間が限られてたんだな」
「選挙にはお金が必要です」
 このことはこの世界でも同じである、やはり選挙というものは何から何まで金がかかるものであるのだ。
「そのお金は」
「相当な資産家でないとないからな」
「その時点で限られていますので」
「俺達みたいにぽっと出で金あるとかな」
「まずないことです」
 一介の冒険者あがりが選挙に出てそれだけの資金を持っていることはというのだ。
「ですから」
「選挙戦術もか」
「どうも」
「そうか、じゃあな」
「こっちはですね」
「思いきりやるか」
 久志は鋭い目になって言った。
「俺達の選挙戦術をな」
「各地で演説にですね」
「それにポスターもな」
「どんどん貼っていきますか」
「そうするか、それで選挙演説の時間は」
「夕方でしょ」
 留美がこの時間だと述べた。
「あの時間が一番よ」
「仕事が終わった時か」
「その時に人が集まる場所に行って」
 そうしてというのだ。 
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